男はリスクを取る、女はリスクを回避。手術スキルは同じ

津川氏は過去の調査をもとに、性別によって次のような特徴があると語る(男女とも手術スキルに差はなし)。

男性医師→迅速に判断(リスクを取る傾向)、自信を持ち治療方針決定。
女性医師→慎重に判断(リスク回避型)、エビデンスに基づく医療行為、患者の話をよく聞く。

冒頭の「週刊現代」の記事に抗議した五本木クリニック(東京・目黒区)の桑満おさむ院長もこう語る。

「女性医師は全般的に、病気を不安に感じている患者さんの気持ちに寄り添う努力をします。患者さんの話によく耳を傾けます。また女性が多い看護師との連携もよく、看護師経由で患者さんの情報を仕入れ、自分の専門外のことは専門医から積極的に意見をもらいます。さらに、女性医師は、効果があると科学的に証明された標準治療を中心に治療をする傾向があります。きちんとした教科書的な診察で、(津川氏の研究結果には)それがよく出ていますね」

性別の傾向として、女性はどちらかといえば「保守的」で、男性は「チャレンジャー」であり、それは医師にも当てはまる、と桑満氏は言う。

「現代の医療に、基本的に“チャレンジ”は必要ありません。極端なことを言えば、名医はいらないのです。性別に関係なく、標準医療を粛々とすべきです。よほど特殊な病気や、手術の手法を新規に開発するような場合のみ、先陣を切る男性医師がいればいいのだと思います」