妻の感情が爆発したら?
「これは受け入れて沈静化を待つしかない。『まあまあ、冷静に』となだめても『なんであなたはいつも上から目線で』と火に油を注ぐことになります。求められているのは共感。演技でもかまわないから妻の感情に付き合い一緒に怒る。怒るふりをする。感情を誇張して付き合うのも1つの技です。激怒する夫を見て冷静になるかもしれません」
女性同士の果てしないおしゃべりは男性には不思議だが、彼女たちはおしゃべりすることで「私たちは仲良し」という信号を交換しているのだ。夫も社長の長話に付き合えさえすればいいのだ。
女性に比べ、男性は幼稚。男もそれはわかっているから「あなた親でしょ? 子どもね!」と叱られても、「しめた、子ども認定を受けた。ラッキー!」と思うだけのこと。
「多くのお母さんが、夫を手が掛かる大きな息子と言いますが、その通りで、男はずっと子どもでいたいのです。夫に自立を求めてもまず無理」
夫に自分と同じ母性性を求めてはいけないと五百田さんは言う。
「女性は、人はみんな自分と同じように考えると思いがちですが、それは大きな勘違い。だから、自分は家庭を第一に考えるのに、夫が家庭をおろそかにして仕事や個人的な趣味にお金や時間を使うことが理解できなくてイライラする。夫の扱いは子どもと同じように小さな作業を与え、『あ、できた。すごいね』と褒めて育てるのが基本です」
夫が家事や子育てに協力的でないのも、興味がないから。だからタスク化する。ゲーム化して競争させ、頑張っていることを褒める。そうしたほうが夫は動きやすいのだ。
○結論
無用な衝突を避けるためにも、夫は妻を社長と敬い、表面的でも共感するふりをする。妻は夫を手のかかる子どもとみなし、褒めて育てる。肝心なのは歩み寄りの姿勢。相手をねじ伏せて変えようとしても溝は深まるばかりだ。
「夫の心がけとしては、会話のラリーを遮断しないこと。生返事でもいいから『うんうん』と聞いているほうがまだまし。『ちょっと聞いてるの?』『あ、ゴメン聞いていなかった』『もう本当にあなたったら!』というケンカのほうが、『うるさい』と怒鳴って黙るよりも100倍いいでしょう」
そもそも妻を社長だと思えば、「うるさい」とは怒鳴れないはずだ。
男は察しないvs女は説明しない
男は理屈で動くvs女は感情で動く
結果を重視する男vs過程を重視する女
男は褒めてほしいvs女はわかってほしい
ケンカをすると男は黙るvs女は泣く
男は縦社会で生きるvs女は横社会で生きる
世界から認められたい男vs世間から認められたい女
『察しない男 説明しない女』(五百田達成著)より抜枠
作家・心理カウンセラー
1973年生まれ。東京大学卒業後、角川書店、博報堂をへて独立。コミュニケーションをテーマに執筆・講演を行う。『察しない男 説明しない女』ほか著書多数。