T字型人材=日本の深堀り×グローバルな視野

【三宅】まさに「英語を生きる」という感じですね。日本にいながらもグローバルと繋がる認識をもっと高めるべきだと。

【茂木】例えば坂本竜馬はあんなに情報のない時代に生まれたにも関わらず「海援隊を世界でやる」みたいな志があったわけじゃないですか。今で言うと超グローバルな意識を持っていたわけです。もし竜馬がもっと長生きをしていたら日本はどうなっていたのだろうと考えてしまいますよ。

それと比べて今の時代は英語を学ぶ環境とグローバルとつながる環境がいくらでもあるわけですから、本当にもったいないですよね。僕はつねづね英語はパスポートのようなものだと思っています。それを手に入れたら世界が一気に広がりますよね。

では、これから日本がどうやって生きていくかということを考えたときに、もちろん日本の固有の良さというのはあって、これは手放してはいけないと思います。でも、そこにグローバルな視野を持つことで生まれるかけ算、いわゆる「T字型人材」と言いますか、日本を深掘りしつつもグローバルな視野を持っている人材がもっと増えると、日本は輝くと思うのですよ。

【三宅】これだけインバウンドが増えていますからね。

日本文化はもっと輸出するべき

【茂木】はい。今、本当に日本が人気なんです。日本のことにすごく関心を持つ外国の方が多くて、例えば「kintsugi」という言葉が今イギリスで大ブームになっています。なんのことかというと、割れた陶磁器の修復技法である「金継ぎ」のことです。53個の別々の茶碗の破片をつなぎ合わせて作られた「五十三次(ごじゅうさんつぎ)」という銘の茶碗もあって、いま名器と言われています。

「金継ぎ」は、器が壊れても捨てないで大切に修復して使うという日本的な習慣から来ているわけですけど、特徴的なことは、漆で修復した箇所を金や銀の金属粉で装飾するんです。隠すのではなく、それをアートにしてしまう。その哲学的な側面が英語圏の人に注目されているんです。

「人生は壊れたと思っても、ちゃんと修復して直せばこんなに美しい人生が待っているのだ」ということで。

【三宅】なるほど。たしかに日本は伝えるべきものがたくさんあるのに、それを伝えられていない気がしますね。必要なことはやはり情報発信ですか。