【特徴2】色が多い

生産性向上を追求しているある企業では、社内資料での色使いを一切禁じています。資料作成の時間を詳細に計ってみたところ、色を決めたり、他と色を合わせたりするのに、数分の時間が都度かかっていたそうです。わずか数分と思うかもしれませんが、積み重なれば数十分、数時間になってきます。製造業などはわずか数秒、数分を縮めるための改善をし続けています。ホワイトカラーも、それにならうべきではないでしょうか。その色をつけることで資料の本質が変わらないのであればやめるべきです。特に意味もないのに、何色かを使いこなす必要はありません。

また、印刷する際は白黒にすることも多いですし、色の違いを認識しづらい方への対応という意味でも、多色使いはおすすめできません。無彩色(白・黒・グレー)でも十分に伝えることはできますので、色を使って当たり前という意識を変えてみましょう。

【特徴3】装飾・演出が多い

立体グラフやエンボス(凹凸)加工などもボタンひとつでできるため、つい使いたくなりますが、これも過剰品質であることがほとんどです。Webやアプリケーションのデザインの世界では今はフラットデザインが主流です。リッチなグラフィックを駆使するのではなく、フラット(平坦)でシンプルな形を使用するデザインです。

MicrosoftやGoogle、Appleなどがフラットデザインを採用していることから、グローバルで共通したデザインの在り方といえるでしょう。過剰装飾を廃したシンプルなインターフェースに慣れれば慣れるほど、禅的な本質だけを目立たせるフラットデザインと、ごてごてデザインのギャップが際立ってきます。

また、グラフは数値を視覚的に比較しやすくするための表現なのに、立体表現にすると歪みが生じたり、データが始まる起点がずれたりして正確さが損なわれてしまいます。そのため、リサーチ会社やコンサルティング会社など数値の厳格さを問われる企業では、グラフの立体表現はやってはいけないことに指定されています。

自分では工夫したつもりの演出が、かえって資料を見にくくしてしまったり、野暮ったくしてしまったり、表現の正確さを損ねてしまったり……、散々な結果につながっていないか、確認してみましょう。一度、演出表現なしで資料を作成してみてください。時短効果だけでなく、品質面での向上にもつながることに気がつかれると思います。

清水久三子(しみず・くみこ)
株式会社アンド・クリエイト 代表取締役社長
お茶の水女子大学卒業。大手アパレル企業を経て、98年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。新規事業戦略立案、人材開発戦略・実行支援などのプロジェクトをリードし、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダー、IBM研修部門リーダーを経て、2013年独立。『プロの学び力』『プロの課題設定力』『1時間の仕事を15分で終わらせる』『一流の学び方』『外資系コンサル流・「残業だらけ職場」の劇的改善術』など著書多数。http://andcreate-official.com/
(写真=iStock.com)
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