公立高校が躍進し一流大学への進学ルートに変化が生じている。我が子の進学先を決めるのに昔の常識はもはや通用しない。東大・京大・医学部に強い公立高校の最新動向に迫る。

公立名門校が大復活した理由

大学進学における高校の勢力図が最近、激変していることをご存じだろうか。要因の1つが公立高校の復権だ。プレジデント誌では、2018年の東京大学・京都大学・国公立大学医学部医学科の現役合格者数合計が、卒業生数に占める「合格率」を独自に算出した。その結果、東京の日比谷、大阪の北野、京都の堀川をはじめとしたトップ公立高校が、目を見張るほどの合格実績を出していることがわかった。

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公立高校の全国ランキングを見ると、東京では一時は衰退した「都立名門校」の復活が顕著だ。橋下徹氏が卒業した大阪府の北野、盛田昭夫(ソニー創業者)の出身校である愛知県の旭丘といった名門も健在だ。公立高校が躍進したのは、「行政が公立高校のテコ入れに乗り出したから」と、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は説明する。

おおた氏は、都道府県も教育の「選択と集中」に舵を切り、「教員や設備といった教育資源を、公立トップ校に手厚く配分するようになりました」という。「今の流れは間違ってなく、自分に適した学力の学校で学べることが本当の機会の平等といえます」(おおた氏)。

Z会上席執行役員中高事業部長の宮原渉氏は、公立トップ校が伸びている理由を解説する。

「例えば、東大合格者をどのくらい輩出しているかで、データとノウハウの蓄積量に差が出ます。日比谷のように何十人も合格者を輩出できるようになると、受験指導の精度も上がっていきます。また、生徒同士で、東大受験の情報を交換したり、刺激し合ったりできる効果も見逃せません」

ランキング上位の大半は、旧制中学からの伝統を誇る、いわゆる「ナンバースクール」で、もともと進学実績が高い。地域別のランキングでは、すべて東京と都道府県庁所在地の高校が首位を独占している。そういった意味では、全国ランキングでトップ10入りした愛知県岡崎市にある岡崎高校の実績は際立っているといえる。このほか、関東の小石川中教や中央中教、中国地方の広島、岡山大安寺中教、倉敷天城といった公立の中高一貫校の伸びも目覚ましい。