1位北野、2位堀川、公立は京大に強い

「地方では、やはり公立高校が強い。トップ20には、東京はたった2校しか入っていません」と、おおた氏は話す。その理由はズバリ、「地方には強敵となる私立高校が少なく、公立高校が地域の優秀な生徒を確保しやすいから」と、宮原氏は明言する。私立を含めても、新潟(6位)は新潟県の、膳所(7位)は滋賀県の、仙台第二(12位)は宮城県のトップだ。

また、京大のみの合格率を見てみると、公立高校の強さが際立つ。宮原氏は、次のように分析する。「東大入試は時間配分等の戦略的対策が必要となり、受験者が多く情報が集まりやすい私立トップ校が有利になりますが、京大は科目の地力が問われるような出題が多く、公立高校の生徒でも十分に対応できるという面もあります」

ランキングで異色なのが、2位の京都の堀川。洛北(旧制京都一中。54位)などの公立名門校を引き離し、京都府の公立トップ校に躍り出た。「好きな課題を集中的に学べる探究学科群の設置といったユニークな取り組みで、能力のある生徒を京都全域から集めることに成功しました」(おおた氏)。

公立中高一貫は、コスパ最強なのか

公立高校の進学実績を押し上げているのが中高一貫校だ。全国トップ20までに、東京都の小石川中教(10位)、群馬県の中央中教(14位)、京都府の西京(14位)、千葉県の県立千葉(16位)がランクインした。

中高一貫校の進学実績が伸びているのは、「地域の優秀な子どもを、青田買いで囲い込めるからです」と、おおた氏は説明する。実は、県立千葉などの例外を除いて、都道府県のトップ校が中高一貫校に転換するケースはほとんどない。高校のままでも、優秀な生徒を集められるブランド力があるからだ。

「中高一貫化するのはNo.2、3の高校が多いのですが、それでも人気を集めるのは、高校受験をしなくてすむからです。貴重な思春期を受験勉強でロスすることなく、有効活用できる意義は大きい。中学と高校の学習内容を統合し、効率的なカリキュラムを組むこともできます」(おおた氏)

一方で、宮原氏は注意も促す。「カリキュラムを前倒ししている一貫校が、必ずしも受験に有利とは限りません。進度が早い分、理解が不十分で、授業についていけなくなるリスクも高まります」