ランキング入りした本は大きく2つのジャンルに分かれています。ひとつ目は定番の「お金を貯める、増やす、節約するための指南書」タイプ。もう1つは「お金を通じて人生や価値観を考える」タイプのものです。
まずは指南書。『知らないと損する 池上彰のお金の学校』は、これからお金の知識を学びたい、という人にうってつけです。お金のプロは専門的な上から目線で物事を話しがちですが、池上さんは一般の人がどんなことを疑問に思っているかをよく理解されています。難しい言葉を簡単に噛み砕いて説明してくれます。何から始めていいのかわからないという人はまずこの一冊から読んでみましょう。
投資に興味のある初心者には『はじめての人のための3000円投資生活』が投資入門の一冊によいでしょう。
著者の横山光昭さんは家計コンサルタントをなさっているので、一般の人が投資をするにあたって何がネックになるのかを知りつくしています。難しいことは1度置いておいて、まずは3000円から気軽に投資を始めてみましょう、という「きっかけ」を提起している本です。
「毒舌な池上彰」と「異色のマネー本」
4位の『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』の著者の山崎元さんは、執筆を担当した大橋弘祐さんが「毒舌な池上彰」と知人に紹介されたような方。本書でも「銀行に立ち寄ってはいけない」「医療保険に入る必要はない」などと、明言しています。ズバズバとした語り口も相まって、シンプルでとてもわかりやすい内容で、ビギナー入門の一冊にピッタリです。
6位の『宝くじで1億円当たった人の末路』はマネー本としては異色ですが楽しく読めます。タイトルをはじめとした「自分探しを続けるバックパッカーの末路」や「キラキラネームをつけられた子供の末路」などの23項目をまとめたオムニバスです。「末路」というように、最後にはどうなってしまうのか、それぞれの専門家が断言する話を聞くというインタビュー形式なのですが、この専門家のチョイスが秀逸で、読み物としても大変面白い。他人の人生を覗き見しているような感覚で新しい価値観を得ることができます。
ここから紹介するのは、2つに分けたジャンルのもうひとつ。「お金を通じて人生や価値観を考える」本です。お金はあくまで日本銀行券というモノでしかない、大切なのはお金をどう稼いで、どう使うか。本当の意味で幸せになるにはどうしたらいいのか。こういった内容のものは、人気の本の中でも特に増えているように感じます。
1位の『金持ち父さん 貧乏父さん』は、いわずと知れた世界的ベストセラーです。初版の刊行から世界の状況が大きく変化したこともあり、より最新の状況に適した内容に改訂されました。お金とは何なのか、働くとはどういうことなのかを、著者を育てた2人の父さんを通じて学ぶという内容は、まさに「お金と人生本」人気の火付け役と言えるでしょう。しかし、私が気になるのは、本文のいろいろなところで顔を出す「アメリカ的感覚」です。イマイチ、ピンとこない人もいることでしょう。そこでオススメしたいのが『投資家が「お金」よりも大切にしていること』です。一番お金に敏感なはずの投資家が、本当に大切にしていることは何なのか。日本人的考え方を交えて解説されており、深く共感できます。