雑誌「プレジデント」(2018年10月15日号)では特集「ビジネス本総選挙」にて、仕事に役立つ100冊を選出した。このうち5つのジャンルごとに「トップ10冊」を紹介しよう。第2回は「勉強・自己啓発部門」について――。

脳の仕組みから見た「伝える」極意

『伝え方が9割』がブレークしたとき、著者の佐々木さんと「ネプリーグ」というテレビ番組でご一緒したことがあります。司会のネプチューンも「これはどう伝えますか?」と佐々木さんに振るのですが、「こういうのは苦手」と苦笑していたようにアドリブが得意な方ではありませんでした。本でもお書きになっていますが、苦手だからこそ「伝え方」に正面から向き合い、悩みに悩んで、真理にたどり着くことができたのでしょう。

1位 コトバ次第で結果を変えることはできる
『伝え方が9割』
佐々木圭一 ダイヤモンド社
2位 大事なのは「謙虚に聞く耳を持つ」こと
『伝える力』
池上 彰 PHPビジネス新書
3位 知性ある者しか時代の変化は読めない
『勉強法』
佐藤 優 角川新書

医者として「まさに!」と思ったのが「自分の頭のなかをそのまま言葉にしないこと」です。

声の高さ、強弱、表情とか仕草、そういった言語外コミュニケーションも含めて人は感情を交流させるわけですが、幼児期にこの訓練がうまくできないと、自分の気持ちを伝えることが苦手だったり、逆に相手の言動に過剰にストレスを感じたりします。現代人はこの傾向が非常に強い。

本来であれば、頭のなかをそのまま言葉にして、それが相手に伝わるというのがベストです。しかし、それができない時代。それなら「そのままを言葉にしない」という選択も必要です。