雑誌「プレジデント」(2018年10月15日号)では特集「ビジネス本総選挙」にて、仕事に役立つ100冊を選出した。このうち5つのジャンルごとに「トップ10冊」を紹介しよう。第5回は「小説・マンガ部門」について――。
実用書だけはダメ、情熱をかき立てよ
司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』が小説・マンガ部門のトップに輝きましたね。僕としては納得の結果です。
1位 株式会社「日本」、組織形成成功の物語
『坂の上の雲』
司馬遼太郎 文春文庫
2位 武力と知略で天下統一を目指す
『キングダム』
原 泰久 集英社
3位 日本を守るため石油に人生を懸ける
『海賊とよばれた男』
百田尚樹 講談社文庫
『坂の上の雲』
司馬遼太郎 文春文庫
2位 武力と知略で天下統一を目指す
『キングダム』
原 泰久 集英社
3位 日本を守るため石油に人生を懸ける
『海賊とよばれた男』
百田尚樹 講談社文庫
司馬遼太郎という人は、これも人気の『竜馬がゆく』などもそうですが、強烈な個性を放つ主人公を物語の中心に据えながらも、実はその時代を生きた人々の群像劇を描いています。歴史ものだけど、見方を変えると「コーポレート・ジャパン」つまり株式会社「日本」とでもいうべき大組織を必死に改革してきた人々の物語を描いたわけです。坂本竜馬は江戸から明治にかけて、秋山兄弟は明治から大正にかけて、この国の基礎を築き上げたネーション・ビルディングの物語として、いまも昔もビジネスパーソンを魅了し続けているのだと思います。
特にいまは企業を離れ、フリーランスになったり起業したりする人も増えています。そういう人々にとっては、坂本竜馬の脱藩精神や、組織を飛び越えて人と人とを結びつける力、大胆な発想力や企画力なども1つのモデルになりうるのでしょう。
僕は常々「ビジネス書」には2つの種類があると思っています。1つは経営学や会計学など実際のビジネスに直結するノウハウを教えてくれるハウツー本です。いまならAIやブロックチェーン、プログラミングなどが人気です。
でも人間の脳というのは実務ばかりではダメで、どこか心の情熱をかき立ててくれる熱量も求めている。それが2つ目のインスパイア系書籍だと思うんです。