現在の相場でも有効な株価指標の使い方
では、相場全体の上昇が見込めない今、個別銘柄を選んで利益を出すためにはどうすればいいだろうか。その参考になるのが、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)といった株価指標だ。
PERとは、会社が出している利益から株価の割安性を見る指標で、「株価÷1株あたり利益」で算出される。一方、PBRとは、会社が持っている資産から株価の割安性を見る指標で、「株価÷1株あたり純資産」で算出される。PBRが1倍以下なら、「株価よりも1株あたりの純資産が高い」ので、その企業は株価以上の価値があることになるため、PBRは1倍を超えているのが普通だが、不動産銘柄では1倍割れどころか0.01倍まで売り叩かれた銘柄もある。
「低いほど割安」といわれるPERやPBRだが、ここまで低いのは明らかに異常で、株価指標をアテにすべきかどうか迷った人も多いだろう。しかし、すでに業績モメンタム(方向性)が上向きに転じている銘柄なら、今後エビ反りに上昇していく可能性は高いと考えられる。そこで、(1)2008年10月から09年3月までの業績モメンタムがすでに上向きで、(2)今後2年にわたって経常利益の増益が期待できる銘柄であり、なおかつ(3)PBRが1倍以下という、主に3つの条件を満たす銘柄(図)は、比較的安全。「草食系」なら、この中から複数の銘柄に分散投資してみると面白い。
セクター別に買うなら、注目はエコ関連。CO2削減に向けて、世界各国が環境関連事業に注力しているが、そのど真ん中がハイブリッドカーや電気自動車であり、太陽光や水力、風力、バイオ。これらの分野は助成金の交付やエコポイントの導入など、至れり尽くせりの国策によって強力に推進されていくはずなので、エコ関連株が大化けする可能性は高い。
最後に、リスクがあっても構わないから今すぐ挑戦したい、という「肉食系」の人はどうすればいいか。一発大逆転を狙うなら、散々売り叩かれた不動産株を買うという手がある。国民に不動産を買わせるのは究極の景気対策だから、国策にサポートされれば、1~3月の業績をボトムにゾンビのごとく回復する可能性は高い。そうした下落率の高い銘柄の中でも、最低でも直近2年間配当を払っていて、疑義注記(継続企業の前提に重大な疑義がある、つまり倒産する可能性がある)のない銘柄を選ぶ必要はあるが、バックに金融機関がついているような不動産株なら倒産リスクも低く、狙い目だ。
※すべて雑誌掲載当時