コメダもコッペパン店を積極展開

ドトールコーヒーの競合としては、コメダ珈琲店が「コメダ謹製 やわらか白コッペ」のキャッチフレーズで、コッペパン専門店を展開している。2017年9月1日、東京スカイツリーの真下にあるショッピングモール「東京ソラマチ」に期間限定店でスタート。その後、各地に常設店として広がった。現在は15店を展開する(2018年12月現在)。

2017年に期間限定で「東京ソラマチ」にオープンしたコメダ珈琲店のコッペパン専門店「やわらかシロコッペ」(2017年編集部撮影/現在は閉店)

「もともとコメダ珈琲店はパンにこだわってきました。40年前から提供している看板商品『シロノワール』は、デニッシュパンの上にソフトクリームを載せて出していますが、このデニッシュパンも自家製です。そこで『パンを使った別の商品を提供できないか?』を社内で議論するうちに、コッペパンに行き着いたのです」(コメダ広報担当者)

実は、“コッペパンの聖地”と呼ばれる店が岩手県盛岡市にある。創業70年の「福田パン」(フクダパン)だ。店頭では1個139円から販売。盛岡市内の高校にも配達しており、「福田パンを食べて大人になった」と話す盛岡市民は多い。福田パンの流れを継ぐ「吉田パン」は、東京・亀有に本店がある。このほか墨田区京島の「ハト屋」(2017年に閉店)は、大正元年創業と福田パンより歴史が長く、東京におけるコッペパンの聖地となっていた。

つまり個人店が長年営業してきたコッペパン専門店に、ここ数年で大手カフェ系の店が参入するようになったのだ。

人気商材としての「コッペパン」の将来像

そもそも、なぜコッペパンなのか。ひとつの仮説は「コンビニにはない商品」ということだ。「パンの田島」は、看板に「焼きたて 揚げたて 作りたて」を掲げている。これは「できたて商品」というコンビニにはない売りをアピールしているかのようだ。

ドトールを含めたセルフカフェは、コンビニコーヒーの登場で影響を受けた。関係者の話を総合すると、「持ち帰りの客が減った」ということらしい。淹れたてのコーヒーが飲めるなら、セルフカフェに立ち寄る理由はない、価格もコンビニなら100円ですむ、ということだろう。

ドトールコーヒーショップの既存店売上高は2018年1月から9月まで9カ月連続、客数は2017年8月から2018年9月まで14カ月連続で前年を下回った。直近の10月度はいずれも前年比プラスに回復しているが、テコ入れが必要な状況にある。