名字でピンときた読者もいるかもしれない。店名の「田島」は同氏の名字から取られている。命名したのはドトール日レスHD会長で、サンメリー会長も兼任する大林豁史氏だ。グループ内の人気業態「星乃珈琲」は、ドトールコーヒー代表取締役社長・星野正則氏の名字に由来するなど、最近の同グループのブランドは、キーパーソンの個人名をつける例が多い。
「最初は(店名が)照れくさかった」と言う田島氏は、コッペパンの魅力をこう続ける。
「コッペパンの原料は、強力粉や薄力粉、生イースト、牛乳などから作られます。当店で販売しているのは、そうしてできた細長いパンの中に具材をはさむシンプルなものです。パンの風味に加えて、具材次第で、まったく違う味に変わります。現在は定番品のほか、年に4回、春夏秋冬で期間限定商品を提供しています」
人気は「ハムカツ」や「つぶあんマーガリン」
約30種類あるという具材の中で、どんな味が人気なのだろう。
「1号店の開業当初から人気なのが、総菜系ではハムカツやコンビーフポテト。最近はエビカツが人気です。2017年秋に限定品として投入したところ、ハムカツに匹敵する人気となり定番化しました。甘いもの系では、つぶあんマーガリン、次いで生チョコクリームが人気です。店舗の従業員に『次はどんな具材がいいと思う?』と聞いたり、本社の従業員も試行錯誤したりしながら、新しい味を探究しています」(田島氏)
具材の条件は、量産化でき、一定の主張がある味だ。過去には、ちくわの天ぷらや厚焼き玉子も試したという。「パンの田島」の特徴は、グループ内の食材を活用できること。料理系に強い日レス、ドリンクに強いドトールと連携できるのは、競合との差別化につながる。
各店の状況は立地で変わり、物販のみ/店内飲食可能の2タイプがある。今回取材した「笹塚店」(東京都渋谷区)はイートインもでき、座席数は26席だ。福岡などの新店にドトールの名前を入れたのは、「安心感のアピール」(ドトール日レスHD広報)とイートイン強化の姿勢を示している。