【田原】それもむちゃくちゃだね。商売の基本は信用ですよ。運送業界に信用はないんですか!

田原総一朗●1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。本連載を収録した『起業家のように考える。』(小社刊)ほか、『日本の戦争』など著書多数。

【松本】そうですね。運送会社やドライバーも、自分が受けられないのに「やります」と引き受けますから。

【田原】そうですか。話を戻すと、ピックゴーなら荷主の手間が省けると。

【松本】さらにスピードも速いです。現在、登録ドライバーは約8000人。その人数に対して一気に電話しているようなものなので、すぐマッチングします。だいたい90秒で見つかります。

【田原】荷主側のメリットはわかりました。ドライバーには、何かいいことありますか?

【松本】まず受け身ではなく、自分で仕事を選べるようになります。全国に何百とある仕事がスマホ上で見られるので。

【田原】選べると、何がいいの?

【松本】先ほど言ったように、定期配送の人は体が空きにくいので、これまでスポットの仕事はあまりできませんでした。でも、自分から選べるなら、空いた時間に1件こなしたり、定期配送のついでに同じ方向の仕事を受けることも可能になる。当然、収入も増えます。

【田原】そこも聞きたかった! これまでドライバーの収入はどれくらいだったんですか?

【松本】軽貨物のドライバーだと、月に30万円いけばいいほうです。宅配だと、月曜から土曜まで週6で、毎日十数時間働いて、月30万~40万円いけば高いというレベル。労働時間を考えたら、かなり低いです。

【田原】ドライバーがピックゴーを使えば、もっと増える?

【松本】はい。まず仕事の単価が高いです。荷主が支払う配送料は従来と変わらず、そこから私たちが手数料10%をいただきます。多重構造で何重にも中間マージンを取られた仕事と比べれば、1件当たりの実入りが大きい。さらに空き時間を活用できるので、無理して長時間働かなくても、一定の売り上げを達成できます。ピックゴーに登録しているドライバーには、月50万~60万円稼いでいる人もいます。

【田原】稼げるとなると、やりたいドライバーは多いでしょうね。

【松本】やりたいけど、軽車両を持っていないというドライバーもいます。そういう方たちのために、車のリースも始めました。費用は月1万9000円です。納期の関係で車両を用意できたのはまだ十数台。現在、150人の方が待機中です。

【田原】いま松本さんの会社は従業員何人ですか。

【松本】正社員が25人で、パートさん6人です。東京以外に名古屋や大阪にもドライバーがいて、お仕事の提供もしています。エリアはさらに広げていきます。