さらに参考にしたのが、「3点攻略法」です。あるエリアを攻略したい場合、そのエリアの周辺3カ所にまず布石を打ち、そのうえで3カ所を結んだ三角形の真ん中、すなわち、最終目標のエリアを狙うのが3点攻略法の考え方。そこで第2号店を金沢市の東部、第3号店を北部に開設し、金沢市内でのアパのプレゼンスを高めてから、中心部に本社を移しました。結果、アパの金沢進出は成功を収めたのです。

アパグループ代表 元谷外志雄氏

アパグループは、2010年4月から「頂上作戦」を展開しています。東京の千代田区・中央区・港区の都心3区は、地価が高かったため、意外にもホテルが少ないんです。そこで、現金での土地購入、目抜き通り以外でもホテル運営ができるアパのノウハウを駆使して、都心3区を中心にホテルを集中出店しました。東京での市場占有率を一挙に高めようという作戦です。

これも「ランチェスターの法則」に基づいた「一点集中主義」、市場占有率の「数値目標」の考え方を取り入れたものです。市場占有率が上がれば上がるほど、市場争奪戦で優位に立てるようになり、企業の経営が安定していきます。市場占有率を高めるには、攻略目標のエリアを絞り込んで、そこに戦力を集中投下したほうが競争に勝ち残りやすい。アパが攻略目標にしたのが、都心3区だったわけです。

市場占有率の数値目標はいろいろあります。私が目安にしたのは、市場に足がかりを得たと認められる「拠点目標値」の2.8%、市場で一定の地位を確保したと見なされる「存在目標値」の6.8%です。アパは現在、宿泊業全体では拠点目標値、ホテル業界では存在目標値と同じくらいのシェアを占めていますが、これを上位グループに入ったと見なされる「上位目標値」である19.3%まで引き上げるつもりです。15年4月からは「第2次頂上作戦」をスタートさせ、地方中核都市の攻略にも本格的に乗り出しました。

オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞したとき、パフォーマンスとして広島を訪問すると予想した私は、中四国最大級になる727室のホテルを建てました。記者会見では「こんなに泊まる人がいるんですか」と笑われたけれど、予想は的中。現在、広島のホテルの月間稼働率は94%です。