ここで重要なのは、運用におけるリスクの取り方である。

ポートフォリオ
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積み立てについては、リスクは比較的高めだが高リターンが期待できる運用ができるが、金融資産のすべてをリスク商品で運用するのは避けたい。手堅い運用を心がけても今回のように世界中の市場が暴落する場合もある。過半は個人向け国債や預貯金など、元本確保型の金融商品に回すべきだろう。

リスク資産の割合について、アメリカでは100から年齢を差し引いた数字といわれ、40歳なら資金の60%をリスク資産に回す。日本では逆にリスク資産を4割、50代は3割程度にしておくのが現実的だろう。

具体的な商品だが、私自身は株式投資信託の積み立て購入を利用している。今回の大暴落で手酷くやられたが、やめるつもりはまったくない。現在のような安値水準でも買い続けていれば、ドルコスト平均法で価格変動リスクが抑えられ、やがて市場の回復過程で資産が膨らむことが期待できるからだ。

日本経済が成熟期に入っていることを考えると国内と海外の先進国、新興国の株も一部持つべきだと思う。一般の投資信託に比べて手数料が安いETFにはさまざまなタイプがあるので、これを利用するのもいい。

外国債券や金を含めたコモディティは依然、注目できる。原油や小麦などの価格は下落したが、将来を見通すと新興国の需要拡大は間違いない。長い目で見れば再び上昇に転じる可能性は高い。

図は40代、50代、それぞれにおすすめのポートフォリオだ。無理なくしかも安定的に収益が見込める組み合わせなので参考にしてほしい。ただし、ポートフォリオを組んだら、3カ月から半年に一度は資産配分を見直すこと。無理はいけないが、適度なケアは怠らない。これが老後資金を準備する秘訣である。

(平原 悟=構成 的野弘路=撮影)