一般男性週刊誌はこのままではほとんどが休刊になる

宝島社のファッション誌群も好調である。市場占有率が27%で、8年連続トップのシェアを誇る。ABCに加盟している雑誌の実売合計が142万5100部と、これも39の出版社の中でトップ。

ここから見えてくるのは、一般男性週刊誌といわれるジャンルの部数減に歯止めがかからず、このままいけば遠からず、ほとんどが休刊になるということである。

ちなみに3年前の2015年1月から6月までの部数を見てみよう。週刊文春が41万6820部、週刊新潮が31万3328部、週刊現代が30万2036部、週刊ポストが21万8848部、フライデーが14万2497部である。

3年の間に、文春が約8万部、新潮が約6万部、現代が約10万部、ポストは約7000部、フライデーが約5万部落としたことになる。

このうち現代は、ニュースを追いかけるよりも、飲んではいけない薬、受けてはいけない手術、年金、相続、介護など、ターゲットを団塊世代の高齢者に絞り、老人向け情報や健康ものに特化してきた。一方、文春は、不倫、略奪愛、政治家とカネの問題など、数々のスクープを放ってきたが、そのどちらも大きく落ち込むという結果になったのである。

「物真似雑誌」のほうが本家より売れるという時代

ABCを見るまで、現代、ポストの路線は比較的うまくいっているのではないかと、私は思っていた。なぜなら、このところ、文春、新潮、フライデーまでが、年金や相続をテーマにした特集を組むようになってきたからだ。

雑誌は「物真似OK」の世界だ。他社が出した雑誌が当たると、それをそっくり真似た雑誌を出すのは、非難されない。しかも、物真似雑誌のほうが本家より売れるという経験則が出版界にはある。

たとえば、平凡パンチの後に出た週刊プレイボーイ、ポパイの後に出たホットドッグプレス、フォーカスをそっくり真似たフライデーと挙げればきりがない。

女性誌でも同じである。有名なところではan・an(マガジンハウス)を真似たnon‐no(集英社)がそうだ。古いところでは、出版社が初めて出した週刊誌・週刊新潮が成功すると、文春、現代など雨後の筍のように各社同じような週刊誌を出した。現代から遅れること10年。現代の編集長経験者とスタッフを引き抜いて作ったのがポストだったが、あっという間に週刊誌の頂点に立ち、長い間トップに君臨してきた。

後発雑誌がなぜ売れるのか。本家のいいところをいただき、それに売れる要素をプラスするからである。いい例は、社会派写真週刊誌として創刊されたフォーカスに、芸能の要素を多く入れたフライデーだろう。