デキる男は出張に、CPAPを持参する
CPAPの装置はリースで持ち帰って自宅で使い、月に1回程度通院して状態を検査するのが一般的だ。リース費用は、保険適用で自己負担が月4500円程度(3割負担の場合)だ。国内外の出張に持参する人もいるという。出張となると、重要な商談にかかわることも多い。そうした場面こそ、仕事のパフォーマンスを落としたくないので、CPAPを使ってしっかり睡眠を取りたいと考えるのだろう。大場氏は「CPAPを使うと深い眠りが得られ、頭がすっきりして疲れも取れて仕事の能率も上がるので、手離せなくなる人もいる」と話す。
ただ、マウスピースやCPAPは、睡眠時無呼吸症に対する対症療法でしかないため、根本的な治療にはならないという。
宮崎氏は、「マウスピースの装着やCPAPを使って、睡眠時無呼吸症の状態を解消しながら、体重を減らすことが重要。さらに、体力が落ちると無呼吸になりやすいので、運動も勧める」と説明する。気道が狭くなったり閉塞したりするのは、太って脂肪が増えたり、舌を支える筋肉が弱くなることで起きるからだ。痩せると症状が改善することが多い。
睡眠時無呼吸症を伴わない単純性のいびきも、肥満とともに睡眠時無呼吸症に移行することが多いので、肥満気味でいびきをかく人は、運動するなどして体重を減らすほうがよい。
さらに宮崎氏、大場氏ともに、タバコやお酒を控えるよう勧めている。タバコを吸うとのどが腫れやすくなるため、いびきや睡眠時無呼吸症が悪化しやすい。また、寝る前のお酒は特によくない。お酒は代謝すると覚醒物質がつくられるので、2、3時間後に目が覚めてしまうし、筋肉が弛緩するのでいびきもかきやすくなる。さらに宮崎氏は「熟睡感が得られないからといって、睡眠薬に頼ると、睡眠時無呼吸症を悪化させてしまうことになるので避けるべき」とも指摘する。
「抱き枕」を使って、横向きに寝る
このほか、自分でできる予防や対策もいくつかある。一番手軽な対処法は、横向きで寝ることだ。いびきや睡眠時無呼吸症は、あおむけに寝ているときに、舌が奥のほうに落ち込んでしまうために起こることが多いので、横向きで寝ることで軽減できる可能性がある。「難しい人は、抱き枕を使うと横向きで寝やすい」と宮崎氏は話す。