アプリで計測も可、気軽にチェックを

日本人は特に、睡眠時無呼吸症になりやすい傾向があるという。大場氏は「日本人は顎が小さいので、歯並びが悪くなる。それによって舌のおさまりが悪くなり、睡眠時に舌やのどの筋肉が下に落ちやすいという構造になっている」と話す。

睡眠時無呼吸症は、首が太い人、肥満の人に多いが、若くてやせていても、顎が小さい人に起きることがある。また、口内の筋肉の衰えも関係するので、年齢が上がるほど増える傾向がある。男性の場合は30代ごろから増え、40~50代が全体の半数以上を占めるが、女性の場合は閉経後に増える傾向がある。宮崎氏によると、女性ホルモンがいびきや無呼吸を抑制する働きがあるためと考えられているという。

検査は、以前は入院して1~2晩過ごして睡眠中の状況をモニターしたりと、簡単ではなかったが、「最近は外来で検査キットを持ち帰り、自宅で睡眠時に装着してデータを取るという検査ができるようになった。こうした検査を受けて、睡眠時無呼吸症の可能性が高い場合に通院するといったやり方も可能だ」と宮崎氏は話す。

また、スマートフォンのアプリで、いびきを自動的に録音したり、無呼吸の可能性がある回数を記録したりするものがあるので、まずは使ってみるのもよいだろう。「睡眠時無呼吸症の度合いは、1時間に何度無呼吸の頻度があるかで測る。1時間に5回以上無呼吸状態がある場合は、すぐに病院に行ってほしい」と宮崎氏は話す。ただ、「昼間の眠気もそれほどなく元気なのに、睡眠時の1時間あたりの無呼吸回数が多く『重症』な人がいる一方、無呼吸の症状は軽いのに頭痛や眠気などが強い人もいる」(宮崎氏)。このため、アプリや簡易検査の結果と、昼間の眠気や頭痛などの自覚症状をあわせて判断すべきだろう。

病院で行われる睡眠時無呼吸症の治療は一般的に、軽・中度の場合はマウスピース、重度の場合はCPAP(持続陽圧呼吸装置)が使われる。マウスピースは、睡眠時に装着するもので、下顎を前に4ミリほど突き出した状態で固定し、寝ているときに気道を広げていびきや無呼吸を防ぐ。病院で歯形をとって、一人ひとりに合わせてつくるもので、保険適用だと自己負担は2万円前後(3割負担の場合)だ。一方CPAPは、睡眠中に装着し、鼻から加圧した空気を送り込んで気道が閉塞するのを防ぐことで、無呼吸をなくす装置だ。閉塞の度合いを自動的に検知して空気を送り込むので、無呼吸の回数が減れば空気加圧の回数もそれに合わせて自動的に減っていく。

▼受診の目安は? いびきチェック
本人の自覚がないケースも多いいびき。当てはまる項目が1つでもあれば受診したい。
(1)大きないびきをかく
(2)睡眠中に呼吸の中断がある
(3)昼間の眠気がある
(4)寝た気がしない
(5)疲れている
(6)不眠がある
(7)寝ているとき息苦しくて起きてしまう
※大場氏への取材をもとに編集部作成。