Aさんの手取り年収は500万円強。支出は月に26万円程度のため、1年で312万円となる計算だ。年に1週間ある夏季休暇には友人と海外旅行を楽しむなど、別途必要な費用もあるため、年間350万円ほどはかかることになる。そうなると、1年間の貯蓄額は150万円。Aさんは、この資金をどうするかが課題と言えるだろう。

Aさんは自身の将来設計について、「結婚しても仕事は続けたい、定年後は年に1回は旅行をしながらゆっくり生活をしたい、そして港区のような都心に住み続けたい」という希望を持っているという。

余裕のある生活を目指すならリタイア時に1億円必要

福田猛『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)

将来の希望を叶えるために、Aさんは「リタイア時に1億円の資産形成をしたい」と漠然と考えているそうだ。65歳時点でリタイアし、年金が仮に現状のままだと仮定すると、Aさんの年金収入は月15万円程度になる。家賃の補助はなくなるため、現状よりも負担は5万円ほど上昇する。退職金は約2000万円、余裕のある生活のための支出は毎月35万円と想定したときにどうなるだろうか。

私はAさんの話を受け、月の支出が35万円で、65歳から95歳まで生活すると仮定してアドバイスした。まず、35万円×12カ月×30年=1億2600万円が生活費として必要になる。年金の給付額が(将来的に65歳から年金が出るかはわからないが)仮に月に15万円だとすると15万円×12カ月×30年=5400万円となると、差し引き7200万円を生活費として用意しなければならない。その他に病気などでお金がかかる可能性もあるので、やはりAさんがいう通り1億円程度の資産形成ができれば理想的だ。

Aさんの年間貯蓄額は150万円。60歳までの27年間にこの金額の貯蓄を続けたとしても、4050万円。退職金が2000万円あったとしても、1億円には足らない。

そこで資産形成の計画が重要になってくる。30代前半の若いうちから目標を持って資産形成を始めることはとてもよいことだ。特に複利効果が期待できる。Aさんのように60歳までの27年間で運用をした場合の複利効果は非常に大きくなる。また、「金融資産1億円」といった分かりやすい目標があるほうが資産運用を継続しやすくなる。