お昼ご飯を一緒に食べただけで1万円

出会った男性の中には、一緒にご飯を食べるだけでお金をくれる人がいて、「ええっ! 本当にいいのかな」と戸惑った。

「最初に会った男性の方は、お土産にチョコレートを用意してくれて。ご飯の後に、『これ、お土産だから』と渡されました。リンツ(スイスの高級チョコレートブランド)の99%カカオ。『中に入っているから』と言われて、開けてみたら一万円札が入っていた。お昼ご飯を一緒に食べただけですよ。

その人のことが好きかどうか、と言えば、別に好きではないんですよ。でも一緒にご飯食べるくらいならいいので、『ガマン代』みたいな気持ちで受け取りました」

初対面の男性には身体を許さない

洋子さん自身は、これまでマッチングサイトで出会った男性に対して、自分から金銭を要求したことは一度もなかったという。向こうから「いくら?」と尋ねられた時は、「いや、いいです」と断っていた。

坂爪真吾『パパ活の社会学』(光文社新書)

「その人の後に出会った人たちに対しても、お金のことは言えなかったです。『いくら?』と言われても、すぐに自分を全部さらけ出すことはできなかった。お金をもらうことにも抵抗があるし、初対面の男性とすぐにそういう関係になることにも抵抗があった。

だからYYCでもハッピーメールでも、何度か会って『この人だったらいいな』と思うまでは、身体を許しませんでした。別に勿体ないと思っているからではなく、本当にそういうことが嫌で、抵抗があったんです。

男女の性別の違いもあると思うのですが、私は好きな人でなければ嫌でした。出会い系サイトは事前に相手とチャットでやりとりができるので、身体目当ての人は全部その時に切っていました。身体目当てのようなことを言ってこない、まともそうな人とだけ会っていた。でも、そうした人と実際に会っても、多くの場合『この後どう?』と誘われる。『まだ心の準備ができていないので……』と断ることがほとんどでした。

性格や相性の合う人と何度かデートを重ねて、それからそういう関係になる。そのスタイルは崩していませんでした」