「恋人探し」でも「初回からホテルOK」

身持ちの堅い洋子さんだったが、パパ活というムーブメントが盛り上がってきている様子を見て、気持ちが揺らいだ。「ちょっとやってみようか」という軽い気持ちで、2017年の夏に大手の交際クラブに登録した。

「登録して、本当にオファーが来るのかな……と心配になっていた時に、担当の社員の方から『もう一回面接に来てください』と言われたんです。『写真と動画が全てだから、撮り直しましょう』って」

そして、交際タイプは「フィーリングが合えば初回からホテルOK」に設定した。

「実際は3回くらい会ってから身体の関係になることが多いです。それでも、大半の男性は初回から積極的に誘ってきますね。皆さんハートが強いなぁ、と思いますが。交際クラブという文脈で出会っているからこそ、そう言えるのかもしれませんが。

もちろん初回からホテルOKにすることは、抵抗はあります。でも、相手の男性と相性が合わなかった時の悲劇を考えると、それが合理的なのかなと思うようになりました。

中には、初回から数えて8回や9回もデートを重ねて、ようやく身体の関係になる人もいます。その間に、こちらはその人のことをある程度好きになっているわけじゃないですか。でも、そこで身体の相性が合わなかったりすると、悲劇が生じる。

すごく好きになってしまったのに、いざベッドに入ると、『えっ?』と思うような時があるんです。ムードも何もなくて、ばっと脱いで、いきなり押し倒してくる……みたいな。あとは、大事なところが勃たない。そうなると、私も『自分の身体では興奮してくれないのかな……』と思って、お互いが盛り下がってしまう。でもこれって年齢のせいじゃないんですよね。40代でもダメな人もいれば、60代でも大丈夫な人もいる。

交際クラブに入って、出会い系の頃と比べて、付き合う男性の年齢の上限がだいぶ上がりました。出会い系の時は49歳くらいまでだったのですが、交際クラブでは60代の方とも付き合いました。

複数の男性とお付き合いする中で、『勃たないのは私だけのせいでもないんだな』ということも分かってきました。毎回ED治療薬を持参して、行為の前に服用する人もいるので、自信がないのであれば、事前に対策はしてきてほしいなと思います」(後編に続く)

坂爪真吾(さかつめ・しんご)
ホワイトハンズ代表
1981年新潟市生まれ。一般社団法人ホワイトハンズ代表理事。東京大学文学部卒。新しい「性の公共」をつくるという理念の下、重度身体障がい者に対する射精介助サービス、風俗店で働く女性のための無料生活・法律相談事業「風テラス」など、社会的な切り口で現代の性問題の解決に取り組んでいる。2014年社会貢献者表彰。著書多数。
(写真=iStock.com)
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