イギリスの大学で、性産業で働く学生向けの講座が開かれ、炎上騒ぎになっている。ホワイトハンズ代表理事の坂爪真吾さんは「大学内で、わざわざ全学生に周知して講座を開くことは、どう考えても合理性がない。こうした講座は、セックスワーカーを代弁したい人たちのパフォーマンスにすぎない」という――。
通りを歩く人々
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そもそも、なぜわざわざ名門大学で開催されたのか

イギリスの大学で、性産業で働く学生向けの講座が開かれ、これについて非難が相次いでいる。

2021年11月11日の英紙タイムズなどの報道によると、イギリスの名門大学であるダラム大学にて、同大学の学生組合が、全学生に対して、メールにて「性産業で働く学生に向けたセッション」の開催告知を行った。このセッションはズームで開催され、少なくとも10人が参加したという。

イギリスでは、高騰する学費を稼ぐために性産業で働き始める学生もおり、大学は「学生を守るため」という理由で、この取り組みを擁護しているという。

一方、同国の高等継続教育担当大臣は、こうした大学の姿勢を「危険な業界を正当化している」「学生を保護する義務を怠っている」「性を売ることを正常化しようとするものだ」と非難した。

学生からの苦情も寄せられた。「学費を稼ぐために学生が性産業で働くことを、大学が事実上推奨していると受け取られかねない」という批判だ。

こうした話題に関しては、「学生が安全に性産業で働くための情報を教えるべきである」「いや、教えるべきではない」といった「べき論」同士の争いが、しばしばSNS上で巻き起こる。

学費を稼ぐために性産業に身を投じる女性たちが減らないのであれば、大学としてサポートするべきなのではないか。いや、そもそも性産業で働かなければ支払えないほど高騰している学費、それを放置している大学や社会の方を批判するべきだ……などなど。

しかし、ちょっと立ち止まって考えてみてほしい。SNS上でこうした「べき論」同士をぶつけ合うことは、一体誰のため、何のためになるのだろうか。本当に性産業で働く女性の安心・安全や権利擁護につながるのだろうか。

そもそもなぜ、性産業で働く女性たちが集まる夜の歓楽街から遠く離れた名門大学という舞台で、このような「べき論」のぶつかり合いが巻き起こるのだろうか。