決まった保険料は、1年間固定

ところで、この標準報酬月額は、4~6月の報酬月額の平均をもとに、7月に決定されるのをご存じだろうか。そして、7月時点で計算されて決まった保険料額は、その年の9月適用分(10月納付分)から翌年8月適用分まで1年間固定されるのだ。つまり、4~6月の報酬月額が減れば、健康保険料の支払額は1年間安くなる。

写真=iStock.com/TommL

報酬月額を減らすために自分でコントロールできるものはと考えると、その筆頭は残業手当。春に残業を控えて残業手当を減らせば、結果的に報酬月額は減り、健康保険料を安くできるというわけだ。

具体的にどのくらい変わるか見てみよう。たとえば標準報酬月額が30等級にあたる人が、4~6月に残業を減らして29等級に下がった場合、健康保険料は2万8850円から2万7119円に変更され、1731円安くなる。年間では2万772円トクになる(介護保険料を含む40歳以上65歳未満)。

わずかだが地域によって金額は異なり、同条件で大阪府なら、月額2万9125円が2万7377円となり、月額で1748円、年間で2万976円が浮く計算だ。

この春「残業減」を実践すれば、10月の給与明細で健康保険料が下がっているのを確認できるはずだ。

しかしながら、会社員の裁量によって健康保険料自体を安くするのは限界がある。健康保険で受けられる定期健診などはしっかりと受けて、健康にかけるお金は節約したい。

1年間の保険料額は春の報酬額で決まる!
畠中雅子(はたなか・まさこ)
ファイナンシャルプランナー
2000年、駒澤大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。各メディアに連載多数。著書に『サヨナラ お金の不安』(主婦の友社)ほか。
 
(文=池田純子 撮影=石橋素幸 写真=iStock.com)
【関連記事】
先進医療も自由診療もカバーする保険2つ
ない袖を振ってまで"親孝行"した男の末路
年収300万円でも「リッチ」な人の考え方
希林さんのように"がん"と付き合うコツ5
"毎月10万円"がないと絶対に老後破綻する