でも「友達が今度店を出すので、ご祝儀として1万円出してやってもらえませんか」であれば、はっきりと言うことができます。さらに「阿蘇でこんなにおいしい野菜を作っている人がいて、本当においしいので、その野菜を売る手伝いをしたいので、1万円、負担してもらえませんか」は、もっと言えます。
逆に、たとえば「Jリーグの試合を見に行きたいので、チケット代を出してください」と言われたら、ぽかんとしますよね。でも、「日本代表を勝たせるために協力してください」と言われたら、考えが変わるかもしれません。そこに大義名分があるかないかで、受け止める側の抱く印象はまったく異なるのです。
お願いをする側としても、自分のためではなければないほど、頭を下げることに抵抗がなくなるし、図々しくもなれます。心が折れないのです。仕事のどんな場面でもそうだと思います。
「世界平和のため」に戦う人は心が折れない
もし心が潰れそうになってしまうとしたら、あるべき“何か”のために謝ったり、無理なお願いをしたり相手の申し出を断ったりしているその行為を、「自分のしたいことそのものだ」と錯覚しているときです。
そうではなく、「その先にはあるべき“何か”があって、そのために謝ったりすることが、自分に役割として求められている」と、いい意味で割り切れれば、「これも必要なこと」と思えるはずです。それでももしも割り切れないなら、それはその“何か”について、心の底から“あるべき”とは思えていないからかもしれません。
そういう意味で、一番心が折れないのは、世界平和のために戦っている人だと思います。
自分とは直接会ったことも言葉を交わしたこともない70億を超える人のために頭を下げたり無茶を言ったりするのが自分の責務だと思えれば、心が折れることはないでしょう。
だから、できるだけ多くの人の役に立ちそうなことに取り組むことが、心を折らずに続けるコツだと思います。
good mornings代表取締役
2002年より株式会社IDEEにて新規出店を手掛ける。2012年にgood mornings株式会社を設立。東京・丸の内や日本橋をはじめ、全国各地で「場づくり」を行い、地域の課題解決や付加価値を高めるプロジェクトを数多く手掛ける。