否認の権利を妻と子にも
無戸籍問題の解決を目指した訴訟も起こされている。嫡出推定を否認できるのは夫だけで、妻や子からは否認ができないのは憲法違反として、妻と無戸籍の娘、孫ら4人が国を訴えたのだ。
17年11月の一審、18年8月の二審とも請求は退けられたが、高裁は「家族をめぐる法律制度の制度全体の中で解決を図るべき」と判示して、「国会の立法裁量に委ねられる」と立法に下駄を預けた。
じつは問題解決に向けて法務省も動き出している。二審判決の前日、規定の見直しを検討する研究会を10月に発足させるとの報道が流れた。
この違憲訴訟を手がける作花弁護士は、次のように語る。
「嫡出推定を緩めるというより、嫡出否認を妻や子にも認める方向で見直しが行われそうです。つまりいま違憲訴訟で原告が主張している内容と同じです。法改正に向かうのは喜ばしいこと。私たちは最高裁に上告しますが、最高裁ははっきり違憲と示して、この流れに弾みをつけてもらいたいです」
(答えていただいた人=弁護士 作花知志 図版=大橋昭一 写真=iStock.com)