戦略的柔軟性を維持する5つの方法

(1)結果を測定、モニターする

ダウ・コーニング社では、シニア・マネジメント・チームが自社の重要なプロジェクトの一つ一つの戦略的成果を、少なくとも四半期ごとにチェックしている。

何を測定するべきかを組織がしっかり考えることも大切だと、シミズとヒットは述べている。たとえば、あなたの会社の目標がライバルから市場シェアを奪うことだとすると、自社の総売り上げだけを測定したのでは意味がない。また、新しい成長事業に重点を移そうとしている場合には、十分に成熟した事業の成功を評価するための測定基準を用いるわけにはいかない。

組織の適応力をさらに高めるためには、新しいプロジェクト(とくに初期)には、段階ごとに資源を投入し、プロジェクトを小回りのきくものにしておく必要がある、とダウ・コーニングの最高マーケティング責任者(CMO)、スコット・フューソンはアドバイスする。

(2)誰かに反対意見を述べさせる

リーダーは、硬直したものの見方に凝り固まってしまわないよう、自分自身の認知のバイアスを自覚する必要がある。信頼できる同僚──できれば複数の同僚──にチーム内で反対意見を述べる役を務めてもらうことは、自分のバイアスに気づくすばらしい方法だと、シミズとヒットは述べている。

リーダーが単独で下す決定についてはどうだろう。ヒットの調査によると、時間不足のためにマネジャーは重要な戦略的決定を自分ひとりで下すことが多い。しかし、その場合でも、あなたの考えを同僚に伝えてフィードバックをもらうことは、本当にバイアスのない見方を保つ助けになると、ヒットは述べている。

反対意見を述べてもらう作戦の最大の障害は、否定ばかりする人間とは見られたくないという人間の自然な感情である。

2人の著者は、その典型的な例としてゼネラル・モーターズ(GM)を挙げている。ロジャー・スミスがGMのトップにいたときには、問題を指摘する者は誰であれ、後ろ向きでチームプレーヤーではないと、すぐに決めつけられていた。スタンフォード大学教育学部準教授で同大学経営大学院特別(by courtesy)教授であり、『Tempered Radicals: How Everyday Leaders Inspire Change at Work(適度に抑えた急進派:現場のリーダーはどのようにして職場の変革を促しているか)』(2003年)の著者でもあるデブラ・メイヤーソンは、支配的な見方とは異なる意見であっても、自分の意見を積極的に表明せよと、企業は社員に奨励する必要があると言う。