「睡眠の土台」を整えるだけで、夜泣きは改善する

子どもの生態を理解しながら、親子でハッピーな睡眠生活を送るために整えていただきたいことが、次にあげる「睡眠の土台」です。

(1)寝室など睡眠にかかわる環境(睡眠環境)
(2)子どもとのコミュニケーションやママなど保育者の心の安定(幸福度)
(3)生活リズム(ねんねルーティン)

“ねんねトレーニング”という言葉がすっかり定着したため、子どもの睡眠トラブルに苦労していると、トレーニングに注目が集まりがちですが、「さあ!」と気合いを入れてチャレンジする前に「睡眠の土台」を調整し、改善するだけで、夜泣き、長時間の寝かしつけ、早朝起きなどの睡眠トラブルが解決することが、実はとても多いのです。

また、土台が整っていなければ、どんなに“ねんねトレーニング”を頑張っても根本的な睡眠トラブルは改善しません。

なぜ泣いているのかの理由を見極められるように

睡眠の改善にはいろいろな要素がかかわり、個々のケースで明確に「これが原因だった」と判断することが難しいため、正確な数値を出すことはできませんが、“子どもの睡眠トラブルの約7割は、この土台の調整&改善で解決する”というのが、私のコンサルテーションの長年の経験から実感するところです。

愛波 文『ママと赤ちゃんのぐっすり本「夜泣き・寝かしつけ・早朝起き」解決ガイド』(講談社)

詳しくは拙著『ママと赤ちゃんのぐっすり本』にてガイドしていますが、寝る環境や生活リズムを整え、子どもとのコミュニケーション、ママ自身の「幸福度」を少し見直す。これだけで子どもの睡眠トラブルが解決し、“ねんねトレーニング”の必要がなくなるケースは少なくありません。

さらに、子どもが泣いたときに、なぜ泣いているのかの理由を見極められるようになり、どうすればいいかがわかるようにもなるので、子どものぐずりへの対応もスムーズになっていくのです。

ぜひ科学的根拠に基づく改善法を、育児に採り入れてみてください。

愛波文(あいば・あや)
乳幼児睡眠コンサルタント
慶應義塾大学卒業。2012年に長男出産。夜泣きや子育てに悩んだことから乳幼児の睡眠科学の勉強をはじめ、米国IMPI公認資格(国際認定資格)を日本人で初めて取得。2015年に次男を出産。米国で2人の子育てをしながら、子どもの睡眠に悩む保育者のコンサルティングや個別相談、日本人向けにオンラインで子どもの睡眠教育プログラムを提供している。
西野精治(にしの・せいじ)
スタンフォード大学医学部精神科 教授
医師。医学博士。1955年生まれ。1987年、当時在籍していた大阪医科大学大学院からスタンフォード大学医学部精神科睡眠研究所に留学。2005年にスタンフォード大学睡眠生体リズム研究所の所長に就任。16年4月より良質睡眠研究機構代表理事に就任。著書に『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)がある。
(写真=iStock.com)
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