「返還勧告に応じなかったことは本学として遺憾」

被害女性は以下のようにコメントしている。

「大学は『深刻なハラスメント』であり『本学の名誉および信用を著しく傷つけた』と認定しましたが、定年退職がそう遠くない渡部氏に対して、退職金のでる解任という処分だけでは、今後の抑止力になるのか疑わしいと感じます。調査結果も事実関係の掘り下げが不十分です。渡部氏からも、まだ謝罪がなく、誠意を感じられません」

早大広報課は以下のようにコメントしている。

「今回の事案では、大学の前例や社会一般の事例を勘案し解任処分としております。本学の就業規定上、退職金を不支給とすることはできませんが、本件の本学に与えた重大性に鑑み、退職金の返還を勧告しました。勧告に応じなかったことは本学として遺憾であると考えております」

「師匠(のこと)なのか、弟子なのか」と聞かれた

一連の問題を巡っては、元コース主任の男性教授らが、ハラスメントがあったことを外部に漏らさないよう被害者や周辺関係者に働きかけていたことも疑われている。また、女性がハラスメントを受けた後に駆け込んだ早大のハラスメント防止室の対応についても、防止室の相談員が女性に対して「退学者は相談を受けられない可能性がある」とメールで説明したことなどが問題視されている。

そのことについて、早稲田が設置した調査委員会は、男性教授による「口止めを受けていると感じる発言があった」と認定したほか、ハラスメント防止室のメールについても「きわめて不適切なものである」としている。

また、報告書では、昨年4月に東京・目白の喫茶店で被害女性が元同級生の女性とともに元コース主任の男性教授にハラスメントの相談を切り出した際、被害女性が渡部元教授の名を言う前に男性教授は「師匠(渡部氏)(のこと)なのか、弟子なのか」と聞いていたことも明らかにされた。男性教授によるこの見立てに対して被害女性は「師匠のほう」と答えていた。