早稲田大学文学学術院の男性教員が、遅刻や休講など怠慢授業を繰り返していたとして、早大の公益通報窓口に通報されていたことが分かった。この男性教員は、渡部直己教授の元大学院生の女性に対するハラスメントについて、口止めをした疑いがもたれている。渡部教授は辞表を提出したが、この男性教員は「広報課にお問い合わせください」としている。早大のセクハラ疑惑、第3弾をお届けする――。
早稲田文学編集室のウェブサイト「概略/早稲田文学の現在」より。

「男性教員の授業実態も大学がちゃんと把握するべき」

通報したのは、昨年4月、指導教員だった渡部直己教授から「おれの女になれ」などとハラスメントを受けた元大学院生の女性。被害女性によると、今年5月、渡部教授から受けたハラスメントの内容を書面にまとめ、「直訴状」として早大の鎌田薫総長あてに送付した。その際、男性教員の授業の怠慢についても一緒に報告した。

総長に直訴した理由について女性は「大学のハラスメント防止室に被害を訴えましたが、ハラスメントが理由で中退したのに『中退をされた場合には、申立をお受けできない場合もあります』などと言われ、その対応に絶望しました。だから総長に訴えるしかないと思いました。また男性教員の授業実態も大学がちゃんと把握するべきと思い、そのことも書面に記しました」と話す。

しかしその後、早大は鎌田総長ではなく、別の担当者が「ハラスメントと教員の怠慢は相談窓口が違うので、授業運営については改めて公益通報窓口に申し出てほしい」などと女性側に説明したという。また、早大は鎌田総長が直訴状を読んだ旨も伝えた。女性は早大の要望を負担に感じたが、指示に従い、公益通報窓口から申し出た。

文芸誌『早稲田文学』の制作に携わっている

早大は渡部教授のハラスメントについては調査委員会を設置したが、公益通報に対して調査を進めているかは明らかにしていない。早大はプレジデントオンラインの取材に対し、「公益通報があった場合は、定められた手続きにしたがって調査等の対応を行いますが、個々の案件については、通報の有無も含めて回答は差し控えさせていただきます」とコメントした。

この男性教員は早稲田大学文学学術院の「現代文芸コース」に所属しており、渡部教授と距離が近く、文芸誌『早稲田文学』の制作に携わっている。また渡部教授のハラスメントに関しては、同僚の教員に「どこで誰に何を言うかはよく考えたほうがいい」などと口止めをした疑いがもたれている。