「予定されていた授業の半分くらいは休講」

昨年春に男性教員の授業を受講し、今年3月に現代文芸コースを修了した会社員の女性はこう話す。

「早稲田文学 2018年初夏号」(筑摩書房)。表紙には渡部直己・早大教授(右から2人目)が写っている。

「私は男性教員の文芸批評に関する授業を受けていました。内容は事前に指定されたテキスト読んできて発表や討論をするというもの。私の記憶では予定されていた授業の半分くらいは休講でした。授業があったとしても『ごめん、会議が長引いてしまって』と特に悪びれることなく遅刻してきました」

「他の先生はこんなことはなかったので、何で男性教員だけが許されるのか、全く不可解でした。別の教員に相談したのですが、その教員には『早稲田文学の編集や執筆で忙しいから……』とお茶を濁されました。なぜ授業をちゃんと行わない人に教えさせているのか、大学の判断が理解できません。学生を舐めているように感じました」

「男性教員は授業中に、渡部教授のセクハラを容認するような発言もしていました。渡部教授が文芸関係の女性にセクハラ行為をして怒らせてしまった過去を紹介し、『渡部さんはすごいキレキレの文章を書くのに、そういうことをポロっとしちゃう。でも悪気のないかわいい人だからみんなも温かい目で見てあげて』と。そんな発言などに嫌気が差し、授業に通うのを途中でやめました。単位は落としました」

「開始から終了まで教室にいたことは一度もなかった」

また、ハラスメント被害を受けた女性と同級生だった男性はこう振り返る。

「私は17年度の前後期に男性教員の授業を履修していました。なぜ彼の授業運営を周囲が許してきたかと問われると難しいですが、自分自身も『大学院とはこういうもの』と勘違いしてしまっていたところがありました。また、学生の中には男性教員が制作に携わる『早稲田文学』に自分の作品を掲載してもらいたい、という希望を持っていた人もいたと思います」

「とにかく、彼の授業は突然の休講が多かったです。それも大学事務を通さず、男性教員から直接メールで休講を伝えられていました。教員から直接連絡を受けた他の学生からLINEで教えてもらうこともありました。たとえ授業があったとしても、必ず遅刻してきました。それに、授業中、携帯電話に出て、話ながら教室の外に出てしまうことも多かったです。そのたびに授業は中断されました。私が記憶する限り、男性教員が授業の開始時刻から終了時刻までフルで教室にいたことは一度もなかったです」

「結局、私は彼の不誠実さに苛立ちを感じたほか、授業そのものも魅力的に思えなくなり、後期の途中から授業に行くのをやめました。たしかに忙しい人なのだと思います。ただ、授業にちゃんと出られない時点で男性教員は職を辞するべきではないでしょうか。彼がこなかった分の授業料は大学から返してほしいと切に願っています」