世界的に進展する「第4次産業革命」も追い風である(図3参照)。確かにAI(人工知能)分野では米グーグルやアマゾンが先行しているものの、IoT(モノのインターネット)では日本に強みがあるのだ。

「IoTでは家電製品など身の回りのモノがネットとつながりますが、たとえばその情報取得の際に必要不可欠なのがセンサーです。この分野で世界トップクラスの技術を持つ日本メーカーに対する需要は、東京五輪後さらに高まっていくはずです」と海津さんはいう。

ネット経由でクラウドに蓄積されるビッグデータの記録に必要なフラッシュメモリも、安価で大容量化が可能な3D-NAND型フラッシュメモリの需要が拡大。それに伴い同メモリをつくる半導体製造装置の需要も伸びており、この分野は東京エレクトロンをはじめとする日本企業が高い競争力を持っている。

電気自動車(EV)分野も、次世代型電池で日本企業が先行している。トヨタ自動車が開発を進める「全固体電池」は、現行のリチウムイオン電池に比べ性能や安全性に優れるとされる。経済産業省やトヨタ、パナソニックなど官民一体で研究を進めており、「実用化されれば、米国のテスラや独のフォルクスワーゲンではなく、日本企業がEVの先頭を走れるようになるでしょう」と海津さんは指摘する。