「楽しんでいる最中に新アイデアが浮かぶ」人材

IoTが普及すれば、働き手はこれまで以上に社会の変化を観察し、どんなモノが情報とつながるか意識しなければならないでしょう。これからは働くといっても「働きながら楽しむ」「楽しんでいる最中に新しいアイデアが浮かぶ」などボーダーレスな感覚で活動する人も多くなると思います。私たちは不動産というモノを持っているので、人が行き来する空間の付加価値をどうやって高めるかを考えなければならない。街をつくる側としては、そういう仕掛けを考えられる人材が必要です。

しかし、日本の受験社会の「答えがある」教育の弊害はいまだに根が深い。実社会で抱える課題の多くは、選択肢はあっても予想できる確かな答えはありません。ですから、低リスクを選ぶか、最大の利益を目指すか、トライそのものが目的か等々のバランスを模索しつつ、決断するポイントを自分自身で見出し、目標を設定し、実行していかなければなりません。そのセオリーに気付いている人が、誰もが欲しがる、リーダーの資質を備えた人材といえます。

そうした人材を育てるには、スモールステップアップでもいいので「自分がやろうと思ったことが実行できた」という成功体験を積む機会をつくることです。当社では若いうちから開発のプロジェクトマネジャーなどを任せて、試行錯誤しつつ決断していく力をつけてもらっています。立場が人をつくります。悩みに悩んでこそ新しいアイデアや、多くの人が納得する方法に行き着き、達成感が得られます。その生みの苦しみを多く経験した人だけが、大きく成長できるのだと思っています。

▼QUESTION
1 生年月日、出生地

1971年5月7日、東京都
2 出身高校、出身大学学部
聖心女子学院高等科、慶應義塾大学大学院
3 座右の銘
世界に変化を望むのであれば、わたしたち自らがその変化を起こさなければならない
4 座右の書
『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー
5 尊敬する人
スティーブ・ジョブズ
6 私の健康法
睡眠
伊達美和子(だて・みわこ)
森トラスト 社長

1971年、東京都生まれ。96年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了、長銀総合研究所入社。98年森トラスト入社。2000年取締役、03年常務、08年専務取締役、16年より現職。

(構成=篠原克周 撮影=初沢亜利)
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