三井物産は市場を切り拓く「ジャングルガイド」

──社内から新規事業プランを吸い上げる取り組みも始めていますね。

試みとしてやっているのが、社内で随意にチームをつくり業務時間の20%を自由な事業テーマに使える「かるがもワークス」という活動です。チームとして取り組んだ事業プランと会社が向かう方向性が合致すれば、その新しい事業の萌芽を会社の事業として採用する。例えば、毎日、穀物のトレーディングをしている社員が、この制度で衛星ビジネスを考える、といったことが起きています。また、起業する意思のある社員を後押しする「社内起業制度」も始めました。この制度では、社員は自己資金も投入します。今は新しいビジネスの種が突然変異で出てきうる時代。担当するビジネスラインの中で、昔からの関係性の延長で仕事をしているだけでは生き残れません。

──変えるべきところは変え、会社の根幹部分は伝統を貫く、というメリハリのある育成方針が窺えますね。

三井物産は新しいビジネスを生み出し、市場を切り拓いていく「ジャングルガイド」であることは昔も今も変わりません。獲物を射止めるための“道具”が変わっただけで、仕事のマインドセットやネイチャーは同じです。つまり私たちは常に「戦う集団」であらねばならない。だから強い個をつくることは必須であり、それが三井物産のDNAと言えます。

▼QUESTION
1 生年月日、出生地

1960年12月13日、愛媛県今治市
2 出身高校、出身大学学部
愛光学園、東京大学工学部
3 座右の銘、好きな言葉
人事を尽くして天命を待つ
4 座右の書
『坂の上の雲』司馬遼太郎
5 尊敬する人
会社の上司・先輩
6 私の健康法
ゴルフ・ジム・カラオケ
安永竜夫(やすなが・たつお)
三井物産 社長
1960年、愛媛県生まれ。83年東京大学工学部卒業後、三井物産に入社。プロジェクト業務部長、経営企画部長、執行役員機械・輸送システム本部長を経て、2015年4月より現職。
(構成=大島七々三 撮影=的野弘路)
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