終身雇用か任期付きポストかで待遇・見方を差別することは、国際社会のスタンダードとはいえない。海外では、転職を繰り返し、スキルアップしてなるべく高い職位に就くというのが普通という場合もある。日本では転職回数が多いと批判されやすいが、海外では必ずしもそうではなく、むしろ同じポスト・同じ会社で長く働く人よりも、スキルアップして、さまざまな職場で経験を積んでいる人が評価されることも多い。
重要なのは専門性や経験、実績
国際協力に携わる仕事においては、このような海外事情の影響を受けていることが多く、前職が任期付きポストだったから、転職回数が多いからといって、低く評価されることはないように見受けられる。実際、筆者も任期付きポストを複数経験して現在に至るが、現在のポストに雇用されるにあたり、前職が任期付きだからという理由でマイナスに評価されたことはないと感じている。
重要なことは正規職員か、任期付き職員か、ということではなく、自身にどのようなキャリア、経験があり、専門性、スキルがあるか、経験・実績があるか、ということだ。だからこそ、国際協力の業界で生きる人たちは自身のスキルアップに余念がない。終身雇用の保証がない場合、常に就職競争に身を晒し、その中で自身の価値を高めるため自己投資をする。任期の満了を機に大学院で学び直したり、語学やスキルアップの研修に励んだりする。国際協力に携わる実務家のプロフィールをみると、多くの人が複数の職場を経験し、大学院などで学び直しを複数回行っている。終身雇用が当然でないということは自分の生き方を自由に決められるということでもある。国際協力の業界では任期付きのポストをうまく渡ってやりたいことを実現している人も多い。