「『墓穴を掘る』とはこのことを指す」と毎日

いつものように新聞各紙の社説を見ていこう。

「『墓穴を掘る』とはまさにこのことを指すのだろう」と書き出すのは7月2日付の毎日新聞の社説だ。

毎日社説はまず「米オートバイ大手のハーレーダビッドソンが、米国内の生産の一部を国外に移すと発表した。解雇を余儀なくされる労働者も出るだろうが、米トランプ大統領の保護主義的な通商政策が招いた当然の結末である」と指摘する。

続けて毎日社説はEUの対抗措置について、こう解説する。

「米国製品に報復関税をかける対抗措置に出た。ハーレーのオートバイは標的にされた一品目だが、社の幹部がホワイトハウスに招かれたり、大統領選中に愛好者が集団でハーレーに乗りトランプ氏支持を訴えて回ったりと、『トランプ的アメリカ』の象徴でもあったことが狙われた大きな理由だろう」

ハーレーの経営判断は極めて合理的だ

さらに毎日社説はハーレーの立場をこう支持する。

「『米国第一』『海外から雇用を取り戻す』が決まり文句のトランプ氏は、ハーレーの生産移転計画を裏切り行為ととらえ猛攻撃した。だが、ハーレーにとっては、極めて合理的経営判断に過ぎないのである」

「合理的経営判断」。まさにこの言葉に尽きると思う。経営者には合理性が求められる。トランプ氏も経営者である以上、ハーレーの判断を理解して当然だ。ところが「裏切り行為だ」と非難する。子供じみている。

「トランプ氏は、米国との貿易で黒字になる相手国を『不公正』とみなす。関税引き上げなどで制裁を与えることが米国のためになると思っているようだ。しかし、輸入品の価格が高騰すれば消費者の負担増となり、相手国が報復関税で対抗すれば、今回のように企業は生産を国外に移す。雇用が失われる」

「中でも、トランプ氏の支持層とされる工業地帯の白人労働者が最も重いしわ寄せを受けることだろう」

この毎日社説の指摘と解説は実に分かりやすい。秋の中間選挙が見物である。きっとトランプ氏は白人労働者をはじめとする支持層にそっぽを向かれることだろう。