勉強を継続するには、勉強そのものを楽しむことです。そして、勉強を楽しむためには、さまざまな対象に好奇心を持つことです。好奇心は人間の本能ですから、難しいことではありません。

4.時間を確保する

時間の確保も勉強を持続するための条件です。勉強のための時間を作り出すことが容易ではない社会人は、どうやって勉強の時間を確保したらいいのでしょうか?

最も重要なのは、余計なことをしないことです。私は、だいぶ前から、省庁の委員会の類への出席を一切やめました。

多くの人は、あまり必要ではない付き合いに、かなりの時間を使っています。ゴルフなどの付き合いから得られる利益は、いまの社会では、減少しているのではないでしょうか? その時間を勉強にあてるべきです。一般に、人付き合いや派閥活動の利益は、昔に比べて減少しているはずです。実際、会社の未来を考えている経営者は、パーティーや宴会を早く切り上げて勉強しています。

野口悠紀雄(著)『「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ』(KADOKAWA)

その他にも、見直すことのできる時間はあるはずです。日常生活では単なる習慣として漫然と続けていることが多く、それらは勉強をしたくなれば、自然に切り捨ててしまうでしょう。そして、自分でしなくてもようことは、金を払ってでも、人に任せたほうがよいのです。私は、税金の申告は、かつては自分で行っていましたが、いまでは、細部に至るまで、すべて税理士に任せています。

多くの人が無駄に過ごしている時間帯に、通勤時間帯があります。独学のための理想的な環境は、通勤電車の中です。とりわけ外国語のリスニングには最適です。文字を見ずに、音だけを聞いていればよいからです。

勉強を継続するための4つの条件を満たし、毎日勉強する習慣をつけましょう。数年経てば、そうしたことをやっていない人との間で、大きな差がつくことでしょう。

野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業。64年大蔵省(現・財務省)入省。72年イェール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て2011年4月より早稲田大学ビジネスファイナンス研究センター顧問。一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。ベストセラー多数。Twitterアカウント:@yukionoguchi10
 
(写真=iStock.com)
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