決勝トーナメント進出回数はアジア勢で最多に
日本が初のベスト8入りに挑む。
ワールドカップで決勝トーナメントに進むのは2002年日韓大会、2010年南アフリカ大会に続いて3度目。アジア勢では最多の数になる。今大会も日本以外のアジア勢はことごとくグループステージで姿を消した。
ちなみにアフリカ勢は1カ国も決勝トーナメントに進めなかった。1982年スペイン大会以来、36年ぶりのことだ。いずれアフリカ勢がワールドカップで優勝する——などと言われてきたが、トントン拍子にはいかないらしい。
今大会のグループステージでは強豪の苦戦が目立ち、各国の実力差がますます縮まっている印象を与えたものの、終わってみれば競争力の高いヨーロッパ勢と南米勢がベスト16の椅子をほぼ独占している。そうしたなかで、日本はメキシコ(北中米カリブ海)とともに列強の間に割って入ったわけだ。
しかも、ポーランドとの第3戦で「負けた」にも関わらず——である。
最後の「名より実を取る」戦い方、コロンビアの勝利という「他力本願」のスタンスに、賛否渦巻いたのも当然といえる。とくに貴重な時間を割き、高いお金を払ってスタジアムまで足を運んだ人々が、大ブーイングを浴びせるのはもっともな話だ。
勝ちに行かない「茶番」はイングランドやベルギーも同じ
筆者としては、西野朗監督の「苦渋の決断」を容認する立場だ。そもそもグループステージという仕組みが、常にこの手の問題を引き起こしかねないリスクをはらんでいる。
イギリスのBBCは今回の日本の戦い方を「茶番」とばっさり切り捨てていたが、当のイングランドもベルギーとの最終戦(3戦目)で、勝つために全力を尽くしたかどうか疑われている。相手側のベルギーもそうだ。
互いに第2戦を終えた時点で、すでに突破を決めていた。ただし、どちらが1位で抜けるか分からない状況だった。しかし、イングランドは先発を8人、ベルギーは9人も入れ替えている。勝利よりも主力の温存を優先し、その後に備える下心がみえみえだった。
そして、ベルギーの若きタレントとして期待されているヤヌザイが見事なゴールを決めても、指揮官のマルティネスはニコリともしなかった。勝てば1位抜けだが、格下の日本に勝って準々決勝に進んでも、優勝候補のブラジルと当たる可能性が高いのだ。
引き分けで終われば、2位抜けでコロンビアと当たるものの、そこを越えれば、準々決勝の相手はスイスとスウェーデンの勝者だ。ベスト4への視界がぐっと広がる。