「ブーム」で終らせず定着させる方法

「ランニングを継続する上での悩み」は、前述の「ランナー世論調査」も聞いている。男女別の回答(複数回答)だが上位4つは共通で、順に「ケガ」「体力の衰え」「時間がない」「記録が伸びない」だ。中年期の男女は、仕事の忙しさもあれば加齢もある。

ただし筆者は、現在はブームの反動で一時的に減っても、また戻ってくる気がする。そのためには、冒頭の調査で減りが目立った40代、50代の男性(特に“お試し派”)が、1人でも続けられるように、敷居を低くする方法を考える必要がある。

この世代の男性は物事を真面目に考えすぎる一面がある。「適度な運動としてウォーキング」を勧められても、「時間がない」と尻込みしてしまう。帰宅後にスポーツウエアに着替えて歩かなくても、帰宅途中に最寄り駅の手前で降りて歩けばウォーキングになる。

それに気づいた人は、「スマホに歩数計アプリを入れて、こまめに歩くようにしています」(茨城県の50代会社員)と実践している。まずはここから始めてはいかがだろう。

歩きやすい「靴」と、手頃な「道」さえあればでき、その日の気分でウォーキングか、ジョギングか、ランニングか選ぶこともできる。速度表示も出る歩数計もあるので、記録に挑戦することも可能だ。もちろんヒザや腰が痛い日は休めばよい。もし本格的に興味を持てば、地域クラブの「1日体験会」を探して参加する手もある。

ランニングは、年齢や体調、自分のモチベーション次第で、「競技スポーツ」にもなれば「生涯スポーツ」にもなる種目だ。将来の「健康対策」の視点でも取り組みやすい。やめてしまった人は、まず仲間をつくるところから再開してみてはどうだろうか。

高井 尚之(たかい・なおゆき)
経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。
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