日本人は「駅伝」が大好きだ。毎年1月には数々のレースがテレビ中継される。一方、五輪種目のマラソンでは日本勢の苦戦が続いている。日本の長距離界のために駅伝とマラソンを両立させる手はないのだろうか。元箱根駅伝選手であるライターの酒井政人氏は「2つの秘策がある」という――。

マラソンにとって駅伝は邪魔な存在なのか

日本人は「駅伝」が大好きだ。特に1月は駅伝のハイシーズン。元日の「ニューイヤー駅伝」(全日本実業団駅伝)から、「箱根駅伝」(東京箱根間往復大学駅伝競走)、「皇后杯 全国女子駅伝」、「天皇杯 全国男子駅伝」と立て続けに開催され、テレビ中継も行われる。

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一方、マラソンでは日本勢の苦戦が続いている。現役選手は世界記録と男子で4分以上、女子は6分以上も引き離され、昨夏のロンドン世界選手権では「入賞」にさえ届かなかった。テレビ視聴率も、襷をつなぐドラマ=駅伝ほど高くない。

なぜ日本勢はマラソンで低迷するようになったのか。陸上関係者に聞くと、「駅伝がマラソンをダメにしたのではないか」という声が少なくない。つまり「駅伝がなければ、もっとマラソンを強化できる」と感じているようなのだ。

▼「駅伝は自分のキャリアの役には立っていない」

昨年12月の「福岡国際マラソン」で現役日本人選手最速の2時間7分19秒(日本歴代5位)をマークした大迫傑(Nike ORPJT)に、「駅伝の経験は現在のキャリアに役立っているか?」と聞いたところ、こんなアンサーが返ってきた。

「僕の走りに関しては(役立っている点は)ありません。ただ学生スポーツとして、大学卒業してからも付き合っていける友人を見つけるためには、すごく助けになったと思います。人間関係を構築する意味ではすごく良かった。そのままでしたら友達は少なかったと思いますから(笑)」

大迫の言葉には「駅伝」の“問題点”と“存在意義”が示されている。どういう意味か。この点を理解してもらうためには、駅伝とマラソンの関係について把握する必要がある。