人気沸騰のランニングシューズ「ナイキ ズームヴェイパーフライ4%」。ソールにカーボンプレートが入っており、「下り坂を走っているような走り心地」といわれる。国内外で新記録を出しているが、速く走れる靴はルール違反ではないのだろうか。また新色を出しているのに、どうして生産数を増やさないのか。ナイキの担当者に疑問をぶつけた――。
 新色「ズームヴェイパーフライ4%」の側面画像(写真提供=ナイキ) 

発売数分で売り切れ ナイキの厚底はどこがすごいのか

4月11日午前9時00分。日本全国のファンがその瞬間、一斉に「購入」した。筆者もそのひとり。直前からパソコンの前でスタンバイし、公式オンラインストアで発売開始と同時に商品をカートに入れた。「順番待ちをしています」の表示。お、購入成立か。心躍らせたが、数分後には「現在、在庫切れです」に変わり、購入することはできなかった……。

この日、「ナイキ ズームヴェイパーフライ4%」に待望のニューカラーが登場した。これまでにも発売日になると原宿のショップに行列ができた、「ナイキの厚底」。最近は“魔法のシューズ”とも呼ばれている。

なぜか。

いまナイキの厚底が国内外のメジャーレースを席巻しているからだ。

海外では2017年4月のボストンマラソンでこのシューズを履いた選手が1~3位を独占。同じように、同年9月のベルリンマラソンではエリウド・キプチョゲ(ケニア)が昨季の世界最高となる2時間3分32秒をマークした。国内でも、同年12月の福岡国際マラソンで2時間7分19秒の好タイムで3位に入った大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)を含むトップ4、さらに2018年2月の東京マラソンで2時間6分11秒の日本記録を樹立した設楽悠太(ホンダ)もこのシューズだった。

▼2万5920円の「厚底」がシューズ市場の勢力図を塗り替える

このビッグウエーブはランニング市場の勢力図も大きく塗り替えようとしている。各メーカーと契約するトップ選手は「別注シューズ」を履いていることが多いが、彼らが履くズームヴェイパーフライ4%はサイズ、カラーを含めて市販されているモデルとまったく同じだからだ。そのため各地の市民レ―スでもナイキの厚底を履くランナーが目立つようになってきた。

このシューズは2万5920円(ナイキオンラインストアでの税込み価格)とランニング用としては格段に高い。にもかかわらず品薄状態が続いている。新色登場で人気度はさらに高まることが必至だ。そこで、ナイキ マーケティング担当・加部槇太郎さんに、ズームヴェイパーフライ4%に対する疑問をぶつけてみた。