共働き夫婦の場合、夫と妻の家事時間には13倍の差がある。1日平均で夫14分、妻180分。同じように外で働いているのになぜこの大差がつくのか。日本総研の小島明子氏は「男性の意識改革だけでなく、国や企業が、女性がより働きやすくすることが重要」という。どうすれば、女性の家事負担は小さくなるのか――。

1日にたった14分しか家事をしない夫、妻は180分

驚くべきデータがあります。

総務省の「社会生活基本調査」(2016年)によれば、共働き夫婦が担う家事(炊事、洗濯、掃除)の平均時間(1日)は夫が14分、妻が180分。実に約13倍の開きがあります。家事関連時間(家事に加え、介護、看護、育児、買い物を含む)は夫が39分、妻が258分で約7倍差でした。

この調査は、「共働き夫婦」のみの世帯、「共働きの夫婦+子供」の世帯、「共働き夫婦+親」の世帯などにわかれており、「夫婦のみ」の世帯の場合、家事時間は夫14分、妻147分(家事関連時間は夫31分、妻190分)。「夫婦+子供」の世帯は家事時間が夫14分、妻196分(家事関連時間は夫46分、妻294分)でした。子供がいてもいなくても、夫はあまり家事をしないようです。

女性活躍推進法が2016年に施行され、多くの企業では、女性の活躍できる職場作りに取り組んでいます。しかし、会社から自宅へ帰っても妻は労働から解放されません。共働き女性の家事の負担が減らなければ、仕事と家庭を両立する負担は、女性にのしかかるばかりになってしまいます。

本稿では、共働き女性の家事負担を減らすために何が必要か、また負担が減らない障壁となっているのは何かを考えます。

【1:共働き女性の家事分担の「理想と現実」の大ギャップ】

日本総合研究所では、2015年3月に東京圏で暮らす25~44歳の女性(有効回答数1828人)に調査し、さらに2017年3月に追跡調査(有効回答数783人、以下「日本総合研究所の調査(2017)」)を行いました。

2017年の調査では、共働きの女性273人に「現在の家事の分担と理想の分担」について尋ねました。その結果を見ると、現在の家事の分担は、「(家事作業)全体の80%以上」と回答した女性が最多でした(42.5%)。一方、理想の家事の分担は、「全体の40%以上60%未満」と回答した女性が最も多くなっています(48.7%)。

共働き女性は、配偶者(夫)に自分と同程度、家事を担ってほしいと希望しているものの、現実には家事のほとんど(8割)を担っている妻が半数近くいるのです。「家事の分担」の理想と現実には途方もないほどの大きなギャップがあることが見て取れます。