二刀流・大谷翔平は「掃除」をして運を引き寄せた

反対に、「両親が先回りする」「親切にしてあげる」という家庭の子は、なかなか掃除が上手くなりません。また、勉強だけがんばって良い成績をおさめればよい、という方針の家庭の子どもも掃除が苦手です。自分の直接的利益にならないことは「無駄」という価値観をもっているからでしょう。

また「いい子にしなさい」と指導されている子供は、決められたことはできますが、自分自身で考え工夫することが苦手です。だから、掃除でも決められた動きはできても、プラスワンの工夫ができません。

【4:掃除が大谷翔平選手のような人間を育てる】

米大リーグで投打の二刀流で活躍するエンゼルスの大谷翔平選手は、高校時代から将来の夢に向けて「日誌」をつけていたといいます。

実は、その中に、日々の掃除に関する項目が登場します。夢を実現するためには、運が必要です。その運を高めるために、大谷選手は、野球の道具を大切に使ったり試合の審判に礼儀正しい態度をとったりするだけでなく、ゴミ拾いや部屋掃除をしていたのです。その掃除を通した「気付き」や「感謝」が、自分を本当に強くすることを実感していたのです。

花巻東高校1年時に大谷選手が掲げた大目標「8球団にドラフト1位指名される」ために必要なことのひとつとして「運」をあげ、そのために、「ゴミ拾い」「部屋掃除」など実践することをあげている。出典:「岩手県生涯学習情報提供システム まなびネットいわて」。

以上、私が個人的に感じる「掃除の4つの効能」を説明しました。

わが子を強く賢く育てたいと望むなら、家庭内で掃除や皿洗いなど、掃除に関わる活動(お手伝い)をとり入れることをおすすめします。

2017年改訂の文部科学省学習指導要領の「学級活動」の中に、一人ひとりのキャリア形成と自己実現のための活動として、「掃除」はこう位置付けられています。

「社会参画意識の醸成や働くことの意義の理解、掃除などの当番活動や係活動等の自己の役割を自覚して協働することの意義を理解し、社会の一員として役割を果たすために必要なことについて主体的に考えて行動する」

世界が注目する日本の「掃除文化」は、子供の人間としての器を大きくしていくと確信しています。いまこそ日本のもつ掃除教育の価値を再考してみる時期ではないでしょうか。

(写真=iStock.com)
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