雑誌は完売、急遽ウェブでの無料公開も

こうした人気を表すように、『ゼロの日常』の新連載が始まった『週刊少年サンデー』は全国で売り切れに。このため急遽ウェブで雑誌を丸ごと無料公開するという異例な事態に発展しました。

安室の女は、安室のどこに引かれたのか。『ゼロの執行人』をきっかけに安室にハマった女性たちに話を聞いたところ、「これまでコナンの中にいなかったキャラ」「コナンの敵になるか味方になるのか分からない、ミステリアスさがカッコいい」「女の影がないので安心して好きになれる」などといいます。

映画終盤の安室のせりふにも話題が集まりました。予告編でも切り取られたように、劇中、コナンが「安室さんは彼女いるの?」と聞き、これに対して安室があるせりふで答えるのです。映画の製作サイドも、せりふが話題になること自体は見込んでいたはず。しかし、ここまで大きな反響があるとは予想外だったはずです。

映画の公開規模は縮小していますが、一部では「安室を100億の男にしよう」(興収100億円を達成しようの意味)という活動も起こっています。安室の女たちの予想以上の反響がSNSなどで評判になり、より多くの客層にリーチすることに成功した、幸福な作品と言えるでしょう。

檜原聖司(ひばら・せいじ)
ライター。1990年生まれ。東京大学在学中、雑誌『このミステリーがすごい!』の企画・コラム執筆、推理漫画のトリック作成・設定協力など、幅広くミステリー関係の分析に携わる。IT企業を経て、現在出版社勤務。
(写真=時事通信フォト)
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