「スマホを見ないで会話できる時間の限度」は20分
その一方で、このC氏によれば、彼らはSNSでのつながりと同じように相手との微妙な距離感を保ちつつ、人間関係では波風を立てずにそつなくその場を収めるのがうまい、と証言する。また前出のB氏は授業のグループディスカッションで30分の時間を与えても20分で終わるケースが目立つという。
「深いディベートをしたわけではないのに『皆が結論に満足しています』とニコニコして報告にきます。議論をしたがらないというより、早い時間で皆がいい気分でまとまったのだから、こんなにいいことはないという感覚です」(C氏)
じつはこの20分。前出のB氏の実感とも近い。B氏によれば、学生が「集中できる限度」の時間が20分ぐらいだという。
B氏は約100人の学生に対し、「スマホを見ないで会話できる時間の限度」についてアンケート調査を実施したことがある。その結果、半数の学生が「会話の相手による」と回答したが、残りの半数のほとんどが「20分」と回答したそうだ。特に本をあまり読まない学生はその傾向が強いという。
ということは、入社後に1時間の会議を設定しても、彼ら、彼女らは20分を過ぎると息切れしてしまうことになりかねない。
▼会社は2018年入社組をどう導けばいいのか
では、こうした特性を持つ18年組にどのように接し、指導していけばよいのだろうか。
まずは「20分対策」。研修のように1つの場所に閉じこめて行う講座などは要注意だ。B氏は「相当のエネルギーを費やすことになり、何時間もやると気を遣いすぎて壊れてしまいかねない」と言う。
「座学など集中して聞いてもらう時間を20分に限定し、20分後に何か意見を言わせるなど区切りを入れるなど工夫しないと集中力が持ちません」(B氏)
人材教育会社の講師C氏は「短い時間軸で目標を設定する」ことを勧める。
「彼らに『将来の夢は何か、30年後にどうしたいか』と聞いてもピンとこないという顔をします。そういう問いは全く響かないんです。また、自分が納得しなければ、やらされ感(負担感)を持ってしまう。1カ月後、半年後にこれができるようになろうと説明し、何をするか具体的な目標を設定する。ひとりひとりの個性や長所の違いに応じて本人がどうなりたいかを親身になって聞くことが大事であり、一度腹落ちしたら行動が早いのもこの世代の特徴です」
要するに、単に会社のために頑張ろうという精神論は通じない。よって、「この仕事をやってくれ」と上司が指示しても「どうしてこれをやるんですか」と聞いてくる。丁寧に説明し、納得しないと動かないというわけだ。