サンドイッチチェーン「サブウェイ」が苦境にある。4年で約170店舗が閉鎖し、運営会社「日本サブウェイ」も2期連続で赤字を計上した。野菜たっぷりでパンも選べるサブウェイのサンドイッチは、なぜ売れなくなったのか。店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏は、「コンビニのサラダが充実し、飲食店でも野菜メニューを押し出している今、『野菜のサブウェイ』の訴求力は低下している」と分析する――。
3月31日に閉店したサブウェイ三軒茶屋店。閉店直後には、店内の什器や備品を販売していた。(東京都世田谷区/編集部撮影)

2期連続で当期純損失を計上

サンドイッチチェーン「サブウェイ」の閉店が止まらない。2014年には国内で480店を展開していたが、その後も閉店が相次ぎ、4年で約170店も減った。現在は310店を割り込んでいる。

運営会社「日本サブウェイ」の業績も、厳しい状況にある。決算公告によると、16年12月期は当期純利益が5047万円の赤字、15年12月期は4863万円の赤字だった。2期連続で当期純損失を計上している。

サブウェイはアメリカに本社を置き、100を超える国に4万3000店以上を展開する世界最大の飲食チェーンだ。店舗の過半数はアメリカにあるが、カナダやイギリス、ブラジル、オーストラリアでも多く展開し、実は店舗数ではマクドナルドに勝っている。

日本で第1号店が誕生したのは1992年。サントリーホールディングス(HD)が米サブウェイからマスターフランチャイズ権を取得し、日本サブウェイを通じて運営を開始した。

7割が「野菜がとれるから利用している」

サブウェイの売りは、パンや野菜、ドレッシングなどを自由に組み合わせられる点だ。サンドイッチの種類を決めたら、数種類あるパンの中から好きなものを選び、好みでトーストもできる。野菜やドレッシングの量も調整可能だし、追加料金を払えばトッピング増量もしてくれる。

野菜が多くとれることも売りになっている。日本サブウェイによると、約7割もの人が「野菜がとれるからサブウェイを利用している」と答えた調査結果があるという。会社としても08年から「野菜のサブウェイ」のスローガンを採用し、前面に出してアピール。そして健康ブームが追い風となり、健康に気を使う人を中心に支持を集めてきた。

また、小さなスペースで出店できることが、店舗網の拡大の原動力となった。サブウェイでは調理に火や油を使わないため、大がかりな厨房設備を必要としない。それゆえ、一般的なファストフードチェーンの半分程度、15坪ほどの広さで開業が可能だという。