座ったままより、ウロウロと歩き回る
日本のオフィスは、この十数年でフリーアドレス・オフィスの導入が進みました。約3割の導入率という調査結果もあります。クリエイティビティの観点からのフリーアドレス・オフィスのポイントの1つは、仕事をする場所を変えるため、オフィス内を歩くようになることです。
スタンフォード大学のマリリー・オペッゾとダニエル・シュワルツが行った実験によれば、クリエイティビティを発揮するには、オフィスで座ったまま仕事をするよりも、ウロウロと歩き回ったほうがよいとのことです。しかも、オフィスから外に出る必要もなく、同じところを行ったり来たりするだけでもよいようです。
最近では、フリーアドレスの次の段階として、アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)が注目されています。
クリエイティビティは、準備、孵化、ひらめき、検証という段階を経て発揮されるといわれ、各段階で必要とされる環境は異なります。そこで、集中したいときには1人でこもれるスペース、誰かと意見を交わしたいときにはコミュニティスペース、インフォーマルなコミュニケーションを取りたいときはカフェスペースなど、オフィス内に多様な環境を用意することで、自分のアクティビティに適した場所を選んで、移動しながら仕事をするスタイルです。
さらに最近では、社内だけのコミュニティではなく、社外の人も巻き込んでクリエイティビティに結びつける動きも盛んになっています。そのために、社外の人を社内に呼び込む動線をつくる企業も登場しています。例えば、ヤフーは、本社ビル内にコワーキングスペースをつくり、社外のワーカーとの協業から新たなアイデアを生み出す取り組みを行っています。
職場風土とクリエイティビティの関係の研究では、ハーバード大学のテレサ・M・アマビール教授らが開発した「KEYS」尺度があります。これは、クリエイティブな組織風土を評価するための指標で、次の8つの次元で構成されています。