高収益企業のオフィスの拡張意欲は高い
東京オリンピックの2020年に向けて次々に建設されるオフィスビル。都内には次々に高層のオフィスビルが建設され、2018年と19年に東京で予定されている新規供給は年平均23万坪強と、過去10年間の平均18万坪を3割近く上回る見通しとなっている。しかも2018年に新規供給されるスペースでは、すでに8割程度のテナントを確保しているとみられているという。
一方で企業側は堅調な経済環境を背景にして高収益企業のオフィスの拡張意欲は高い。
採用面で有利な好立地、優良スペースを求める動きも堅調で、「立地改善移転」の傾向があるという。立地改善移転とは、交通アクセスのいいところにオフィスを移すことだ。
「東京駅を中心に、交通アクセスのいい、JR駅周辺に高グレードのオフィスビルが次々にできているので、こうしたビルへの移転が急増しているのです」
不動産のマーケット動向を見てきているCBREのリサーチ シニアデレクター、鈴木孝一氏はこう語る。しかし、グレードアップを伴う「立地改善移転」が主流であるため、人気が集まるのは「グレードA」と呼ばれる超優良物件。
移転元のビルで二次空室が徐々に健在化し、すべてのグレードで見てみると、空室率は2017年末には1.5%だったのが、2018年末には1.7%、2019年末には2.3%まで上昇すると予測している。
「グレードAの空室率は2018年の年明けから上昇に転じています」(鈴木氏)
さらに2020年には2018年を上回る30万坪の新規供給が予定されている。しかも新規供給の7割を「グレードA」が占めることから既存のオフィスに与える影響はさらに拡大する。
しかも、これに景気減速や消費税増税が波状攻撃のように押し寄せる。
「2019年以降から米国の経済成長が鈍化し、これが日本の景気にも影響します。さらに日本は2019年10月から消費税増税が予定されていることから、日本経済は米国よりもさらに低いマイナス成長が予想され、オフィス需要の減退によって空室率が上昇すると考えられます。そのため、2017年から2020年末にかけて、グレードAでは2割程度の賃料下落を予想しています。ただし、消費税導入が延期された場合は、賃料の下落率は10%程度にとどまると試算しています」(鈴木氏)
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