新しい働き方にあったオフィスを模索

エントランスは開放的に空間に。

そうしたニーズに合致するのがフリーアドレス型をさらに進化させた「アクティビティベース型ワークプレイス(ABW)」だ。

「これは欧米やアジアに続いて日本でも注目を集めているスタイルで、フリーアドレスとの大きな違いはさまざまなタイプのスペースが用意されているということです。従業員は仕事の内容や目的に合わせて環境を選択することができます」

皇居を一望できる開放的な応接スペース。

実際にABWを導入したオフィスでは従業員が仕事に合わせて複数のスペースを使い分けていることが確認されているという。

CBRE東京本社でも2014年4月からABWを導入した。その3年後の2017年3月に、オフィスで働く社員の動きを、センサーテクノロジーを使って1カ月にわたって調査した。

これによると「カフェ」や窓際の日当たりのいいところに作ったオープンの「打ち合わせスペース」、立ってもパソコンを打って会議に参加できるように設定した「ハイテーブル」など、予約なしで利用できるスペースを活用した延べ人数は合計で3割弱に達したという。

さらにスペースタイプを変える回数は平均で1日4回、多い場合は9回というケースもあるという。「電話ブース」「ハイテーブル」「休憩スペース」など、短時間の利用が想定されているスペースは、実際の利用時間も6割以上が10~15分だったという。

しかもそうした施設を利用して「自分の生産性が向上した」と感じる従業員は、2014年は76%だったのが、その3年後の2017年には84%に上昇している。さらに社員の70%が「自分の部署や他の部署の同僚と容易にコラボレーションできる機会が増えている」と回答した。

過当競争時代に突入したオフィスビル業界にとって新しい働き方にあったオフィス環境を提供していくことが重要になってきたようだ。