朝鮮戦争が勃発した当初、北朝鮮は快進撃を続け、半島南端の釜山まで占領する勢いでしたが、アメリカが介入して形勢が逆転。アメリカ軍と韓国軍を含む国連軍はソウルを奪還し、北朝鮮軍を38度線より北へ、押し返します。

本来、ここで戦争は終わるはずでしたが、韓国軍が単独暴走し、38度線を越えて北へ進撃しました。韓国の李承晩(イ・スンマン)大統領は北進統一を狙っており、軍に38度線を越え、平壌(ピョンヤン)を占領せよと指示していました。これに引きずられる形で、マッカーサー率いるアメリカ・国連軍も38度線を越えました。

中国は結局、軍事行動を取らざるを得なくなります。中国はアメリカとの全面衝突を避けるために、朝鮮への派遣軍を正規の「人民解放軍」とせず、私的な「義勇軍」としました。「義勇軍」はソ連から支給された最新鋭の武器で武装し、100万人規模の強大な軍隊でした。
「義勇軍」の奮闘で、最終的にアメリカを中心とする国連軍を38度線より南へ、押し返すことに成功します。

中国は北朝鮮の核保有を是認する

北朝鮮は朝鮮戦争で多くの中国兵の血を流して、ようやく築き上げた「防波堤」です。中国はこの「防波堤」をどんなことをしても守ります。今日、中国が国際社会と協調して、北朝鮮に対し経済制裁をかけているのは、うわべだけのポーズであり、実際にはズブズブの関係が続いていると見るべきです。

北朝鮮はこうした状況を踏まえ、核開発を行い、最終的には、中国もそれを黙認せざるを得ないことをわかっています。核戦力は体制を維持するのに不可欠です。中国が北朝鮮という「防波堤」を必要としている限り、中国は北朝鮮の核保有を最終的には是認します。

4月の南北首脳会談後、中国は「環球時報」社説を通じて、「国際社会が北朝鮮に、核兵器が不要と実感させるような環境づくりをしなければならない」と表明しています。これは在韓米軍2万8500人が撤退するべきだということを暗に示しているものと思われます。中国は北朝鮮の暴走を制御するという名目で、極東アジアにおいて、大きな外交的プレゼンスを発揮しようとしています。