2018年4月に入ってきた衝撃的なニュース

もちろん、アマゾンがここまでの垂直統合を実現させるためにはさまざまなハードルをクリアしていかなければなりません。それでも、安全性も徹底された、優れたユーザー・エクスペリエンス&ユーザー・インターフェースとしての「アマゾン・カー」完成の日を期待していきたいと思います。

田中道昭『2022年の次世代自動車産業 異業種戦争の攻防と日本の活路』(PHPビジネス新書)

アマゾンについては、2018年4月に入って衝撃的なニュースが次々と飛び込んできましたので、本章の最後に追記しておきます。

まずご紹介しなければならないのは、次世代テクノロジーの中核かつ分散型社会を担うものとして期待されているブロックチェーンのサービスをAWSでスタートすることを発表したことです。以下にはAWSのサイトでの内容を引用したいと思います。

「AWS Blockchain Templates を使用すると、一般的なオープンソースフレームワークを使用するセキュアなブロックチェーンネットワークを、すばやく簡単に作成してデプロイできます。テンプレートを使用することにより、お客様はブロックチェーンネットワークを手作業でセットアップすることに時間と労力を浪費することなく、ブロックチェーンアプリケーションの構築に集中できます」

中央集権型プラットフォームの王者、アマゾンが、他社に先行して非中央集権型・分散型のブロックチェーンをサービスとして提供していくことには本当に脅威を感じます。

アマゾンが家庭用ロボットを開発との報道も

さらに、米ブルームバーグは4月23日、アマゾンが家庭用ロボットを開発していると報じました。2018年末までに社員の家での試験導入を目指しており、2019年にも消費者向けに販売する可能性があるとのこと。

家庭用ロボの機能は不明であるものの、試作機はカメラや画像認識のソフトウェアを備え、自動で進むことができると報じられています。もはや「自動ロボット・カー」である「アマゾン・カー」の実現も時間の問題だと考えて、各社においては中長期的な戦略を練り直す時期が到来しているのです。

田中 道昭(たなか・みちあき)    
立教大学ビジネススクール(大学院ビジネスデザイン研究科)教授
シカゴ大学ビジネススクールMBA。専門はストラテジー&マーケティングおよびリーダーシップ&ミッションマネジメント。上場企業の社外取締役や経営コンサルタントも務める。主な著書に『アマゾンが描く2022年の世界』など。
(写真=The New York Times/アフロ)
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